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一湊川上部・屋久島沢登り記録
一湊上0
 朽ちゆくものの美。

 沢の上流部に転がっていた車。バンだったのかトラックだったのか不明なまでに、原型をとどめていない。
 しかし、このフロントグリルは、いすゞのエルフ、僕が子供の頃走っているのをよく見かけた奴だ。ということは、この車がここに転がり落ちたのは恐らく30数年前のことだろう。わずか30数年でここまで朽ち果てた姿に変わり、まさに土に還ろうとしている。(これを運転していた人は一体どうなったのだろう。)
 今、人類はわが世の春を謳歌していて、「地球に優しく」なんて尊大なことをのたまっている。でも、人類が活動した痕跡なんて、いずれはこの車の如く、宇宙的時間から見ればほんのわずかの歳月で、この星から消え去るのだろう。その消えていく過程の一瞬をこの写真の如く切り取ってみれば、そこに「廃墟美」といった無常の美を感じなくもない。でも、そんなものを感じている、この僕の意識という存在も、宇宙の無限の広がりに比べれば、現れた瞬間に消えていく泡粒に過ぎぬ。
 そう、きっと全ては泡沫(うたかた)の夢なのだ。

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