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今日の一曲
Time Remembered

 どんなに楽しかったこと、辛かったことでも、時が過ぎれば思い出の引き出しにしまいこんで、封印ができるというものなのだろうか。
 人生の半ばを過ぎた今でも、僕にはわからない。

 ジャズ・ピアニストの最高峰、ビル・エヴァンス。
 彼がトリオで最高の演奏をしていたのは、やはり、ベースにスコット・ラファロを迎えていた2年間であることに、ファンなら誰でも異論はなかろう。スコットと組んでのリヴァーサイド四部作、中でも『Waltz for Debby』はジャズ史上に残る不朽の名盤であり、僕にとっても間違いなく大好きなCDベスト5に入る。だが、そのスコットは、Village Vanguardでの伝説的ライブでビルと共演したわずか11日後、自動車事故のため25歳の若さで突然この世を去ってしまった。

 ビル・エヴァンスのCDは当初、スコット・ラファロ以後のトリオ時代や、ソロのCDも数枚買って聴いたこともあった。が、『Undercurrent』を別にしてやはりさほど気に入るものはなく、この20年近くリヴァーサイド四部作ばかり聴いていた。でも2、3ヶ月前、なぜかもっとビルを聴き込みたい気分になり、さらに数枚追加購入。その中の一枚『Time Remembered』を、ある朝出勤途中の車のステレオで、初めてかけてみた。
 何気なく聴き出したつもりが、最初の曲が流れ始めた瞬間、突然目から涙が滲んできて、止めようがなかった。なんなんだ、この圧倒的な切なさは!そして後半の、雲の隙間からほんの少し薄日が射した、でもすぐに消えてしまいそうな儚い明るさは!これは、絶対に別れの曲だと直観した。

 家に帰って調べると、やはりこの曲は別れをテーマにした、古くからあるアイルランド民謡らしい。そして、収録時期のエピソードを知ってさらに心が震えた。これはスコット・ラファロの死の翌年、彼を失ったショックで落ち込んだ状態から抜け出せないでいるビルが、ボロボロの精神状態で弾いた曲だったのである。
 だからこんなに哀調なんだ、僕の心に響くんだ!

 以後今日に至るまで、これが僕のヘビロテの一曲になった。
 
  "Danny Boy"




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