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女川・屋久島沢登り記録
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 10月10、11日と、一人で女川を詰めて愛子岳に登って来た。
 女川は、とにかく「滝、滝、滝!」、その名に反して、壮絶な沢だった。

 10日。天気、快晴。荷物は軽量化に努めて、17kg。
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 6:45、自宅出発。小瀬田集落内を歩いて、小瀬田神社(1枚目)に向かう。ここは、旧日本軍兵士が遠く離れた故国を偲んで南洋の地に建てた神社かの如き趣があって、その哀愁感が大好きな神社。ここで、今回の道中安全を祈願してから、表参道の階段を下ってそのまま海岸に出る(2枚目)。本当はここから日の出を拝んでから入渓したくて、前夜のうちに日の出の時間を調べていたのだが、100円ショップで買った目覚まし時計が止まってしまい50分寝坊したために、その計画は叶わなかった。残念。10分ほど石のゴロゴロする海岸を歩いて、いよいよ女川河口着(3枚目)。愛子岳が正面、かなり遠くに見える。海水で身を清め、7:10、いよいよ遡行開始。

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 下部は今まで何回も行ったことがある、何の変哲もない河原歩きが続く。愛子大橋を越えて、8:20、第1のゴルジュ着(1枚目)。巨大チョックストーンがはさまる下を、泳いで越える。今日は思ったほど水が冷たくなくて、ウエットスーツを着た上にライフジャケットも着けているので、楽勝楽勝。ゴルジュの先の滝(2枚目)。右下の岩の所に水が流れていなければそこを直登できるのであるが、今日は、一昨日、昨日と断続的に降った雨のため、そこそこ増水している。やむなく、ザックだけ滝上に持ち上げて、自分は空身で左岸のチムニーを攀じ登る。上部のチョックストーンを抱きかかえるようにして越える。Ⅲ級、4m。
 続いて、第2のゴルジュ(3、4枚目)。ここは、女川で最長の30mの泳ぎ。ここに来るのももう4回目なので、楽勝楽勝。
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 その後も小さなゴルジュや小滝が続く。大したことのない小滝でも、やはり、増水のため手強い。この先に予想される核心部を考えるとここで引き返すのが賢明でないかと、一瞬迷う。しかし、今日明日の天気予報が快晴であり、徐々に減水してくるだろうという期待、そして今回を逃したら今年はもうここに来られないだろうという思いで、続行を決断。
 10:25、Co150の二俣着(3枚目)。水量1:2、本流である右俣に入る。ここまでは結構いいペースで来られた。ゆっくり休憩を取る。
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 11:25、Co250で、上3枚目の大滝出現。右岸を巻く。巻いている途中で一箇所、シダが猛烈に群生している場所を突破。思い出した!ここは、4年前屋久島に移住してから初めて沢登りをした時に、同行のS先生がシダの胞子で喘息発作を起こして吸入をした場所だ。(その時は、時間切れでここのすぐ先で左岸の林道に逃げたので、これより先は僕も未体験ゾーン。)
 女川の巻きではこの後も、所々でシダの群生地帯が出てきた。そこは、表土が薄くてすぐ下に岩盤が出ていることが多く、木は生えていないので、滑ったら止まらない危険な場所である。目指す方向にシダを見たら、決して近寄らず、大変でも90度迂回して上を大巻きするのが正解だと思う。
 その後も写真のような10mクラスの滝がゴンゴン続く。(写真は大き目の滝のみ。)3回位巻いたか。全て右岸を選択。一つの巻きに10~15分。藪の濃さは大したことないが、斜度が80~90度の所を木を掴んで体を持ち上げるような登りが多く、かなり消耗する。腕力のない人は危ない。
 あまりに巻きが辛いので、何回か直登にもチャレンジ。S木さんに以前教わった、「滝で一歩足を上げる前に、この先で登れなかった時ここを下り返せるか、常に確かめる」という鉄則を呪文のように頭の中で唱えながら。そして、先日見た映画「アポロ13」で、酸素タンクの爆発のためにあれほど恋い焦がれた月への着陸を諦め、家に無事帰還することを目標に最後まで頑張った乗組員たちのことを思い出しながら。月着陸をあきらめることに比べれば、滝の直登を一つあきらめることなど、本当にたいしたことないのだから。一番に大切なことは、怪我することなく、家族の待つ家に無事帰り着くことなのだから。特に今回は単独行。ちょっとした事故が、即、死につながりかねない。実際、滝を登っている時は、常に死の気配をすぐ傍に感じていた。結局、挑戦した滝の内、2つ直登して、2つ途中撤退した。
 14:20、20m大滝(下4枚目)を越えると、落ち口(Co500)から、小瀬田の牧場と海がくっきりと見えた(下5枚目)。
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 Co520で、15mの秀麗な滝(2枚目)が出現。驚いたことにこの右岸にピンクテープと虎ロープが張られている(3枚目)。ピンクテープを辿りながら巻くと、しっかりした登山道になっているのだ。テープはその後T字に別れていた。僕は当然上流側に進んだのだが、するとやがて道は消えた。となると下流側も気になったが、疲れていたのでわざわざ確認しには行けなかった。僕の推測だが、ガイドか誰かがこの滝を見るために道を作ったのではないか。それにしても一体どこに通じているのだろうか、地図を見ても全く見当がつかない。不思議だ。
 Co150の二俣以後、連瀑帯で時間がかかる巻きが続き、思うようにピッチが進まない。時間内に予定テン場に着けるか微妙になってきて、ちょっと焦り始める。 
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 15:30、Co650の屈曲を過ぎると、沢は一転穏やかさを取り戻す。今朝通った下流部そっくりの河原歩きが続く。上2枚目のチョックストーンのゴルジュなんか、岩に草が生えているのが違うけれど、第1のゴルジュのデジャヴュでないかと思うほど。
 しかし、ほっとできるのも束の間。すぐにまた、滝、滝、滝のオンパレード。巻き道を探すのもいいかげん嫌になった。もう滝でお腹いっぱいである。勘弁して欲しい。そして圧巻は下3枚目(是非拡大して見て欲しい)Co790からの50m大滝。こんな山奥にこんな大滝が人知れず存在していたとは!しかし、巻きが大変。15~20分の右岸巻き。これが女川最後にして最大の滝であった。ここを越えると下4、5枚目のごとく、水量はぐっと減り、流れも緩やかになる。出発が遅れたし、増水でややペースが遅かったので心配していたが、計画通り今日中にここまで辿り着けて一安心。テントを張れそうな所を探しながら進むと、17:40、Co885 の右岸1m弱上に、お誂え向きの1畳ほどのスペースを発見。ここで一宿借りることとする。
 速攻でテントを張り、さらに日が沈む前になんとか焚火を起こそうと頑張ったが、大慌てで手間隙を惜しんだために失敗。すぐに日没を迎える。
 月が出ていない漆黒の夜。一人、満天の星空を見上げながら「カンパリかぼす」とカレーライスをいただき、20時就寝。


11日。
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 6時過ぎ、起床。7時出発。一人で泊まるには十分の広さの、なかなか良いテン場であった(1枚目)。今日もすかっ晴れで、行く手に愛子岳の禿げた山頂が見える。
 Co980位で水枯れ。その後も沢形を詰めていくだけで、藪こぎをほとんどせずに、7:45、Co1060地点登山道(3枚目)に当たった。愛子岳登山道は4枚目のように、石鎚山の鎖場にも似た、結構危険な場所がある。雨の日に一般登山者が登るのはやめた方がいいだろう。
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 8:15、ピーク着。奥岳の展望がパッチリである。
 祠に、昨日の朝海で採取した海水と丸石をお供えする。つわぶきの葉っぱを取ってくるのを忘れたなあと思っていたら、誰かがすでにお米や丸石と一緒にお供えしていた。葉っぱの新しさからみて、数日以内の物だ。こんなところに、屋久島(小瀬田)の人の山岳信仰の篤さを見る思いだ。
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 左から、奥岳方面、町方面(宮之浦~船行)、女川(昨日の歩き始め地点である、女川河口がはるか遠くに見える)、たぶ川(左側)と男川(右側)。女45女46女47
 8:45、登山道を下山開始。10:35、登山口着。途中から、犬の散歩がてら出迎えに来てくれた家族と合流し、11:25、自宅に無事帰還。
 家→海→沢→山頂→家を、完全に自分の足だけで歩き通すという長年の念願を、ついにしかも単独行で達成し、かつてない充足感を覚えた。全身の疲労感もいつも以上。

 女川の難易度は、高巻きが苦手な僕としては4級と言いたい所だが、一般的にはまあ3級上か。核心は中盤の連瀑帯と最後の大滝の巻きの処理。その人の技量や装備によっては、直登でき、その方がはるかに楽で早い滝もあるが、その辺の判断は難しい。というのも、ホルンフェルスの岩質が結構滑るのである。コースタイム的には、体力のある人が、夏の日照時間の長い時期に最低限のビバーク装備だけの軽い荷物で行けば、日帰りも不可能ではないと思うが、相当きついだろう。
 これほど魅せる滝が連続する沢は、僕の行った中では、白谷川と安房川北沢右俣くらいなものか。遡行図も一般には手に入らない、屋久島の中でもマイナーな沢としては、難易度、見所ともに随一の沢として、お勧めできる。装備は、今回、20mサブザイルのみ持って行った。滝の直登にこだわらなければ、それで十分だと思う。足回りは、岩が滑るのでアクアステルスは止めた方がいい。





 

Comment

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素晴らしい連瀑帯ですね♪
晴れて完全復帰のご様子、うれしい限りです♪
下部のゴーロからは想像出来ない程素晴らしい連瀑帯!
写真での渓相は屋久島らしくなく?九州本土に近いカンジに思えます。

一点、「その名に反して」ではなく「その名のとおり」と思えました(^^;
ワタシの沢仲間の女性陣は「オス化女子」ばかりで、泳ぎで互角、クライミングはワタシは足元にも及びません!!
屋久島の沢ファンも多いので来年は是非一緒に連れて行ってあげて下さい。生物分類上は雌という程度です(^^;;
Pooh | URL | 2010/10/13/Wed 23:41 [EDIT]
そんなことはないでしょう。
コメントありがとうございます。
屋久島の沢でも、時計に見立てて1時~3時方向にある泊川、城之川、たぶ川、男川、女川、落川、田代川は岩がホルンフェルスのため、渓相がガラリと変わります。やや陰鬱な色合いで、花崗岩の巨岩がない代わりに滑りやすいです。

ところで、貴重な沢仲間にそんな失礼なことを言ってはいけませんよ(笑)。v-12
先日の由布川で「wanted」の方もチャーミングでしたよ!
屋久島遡行人 | URL | 2010/10/14/Thu 08:58 [EDIT]
Sea to Summit おめでとうございます。
これこそヤクシマスタイルですね。羨望の的です。

さて,来年のGWは台湾への第一歩を踏み出そうかと思っていますが,
ご一緒にどうでしょうか。詳細は現在,海外遡行の方に問い合わせ中です。
3年ががりで下部・中部・上部と行けたら・・・と思っています。ポイントは大理石ゴルジュの突破と詰めの草原です。遡行人さんの登攀力をお借りできればと思っています。


インヤン | URL | 2010/10/14/Thu 14:57 [EDIT]
これが因縁?の!
希望的予定には入っていた、これが女川ですか!
それにしても、3級下を単独とは…
緊張感がビシビシ伝わってきます

無事の帰宅、本当に何よりでした
感慨の大きさが強く伝わってきます
おめでとうございます!
げん | URL | 2010/10/14/Thu 18:04 [EDIT]
インヤンさんへ
今回は自分の家から家まで一気に歩いてつなげたという点でも、大満足でした。

た、たいわんですか!!
僕にとっては、夢のまた夢。以前成瀬さんの遡行スライドを2回見せてもらいましたが、その凄さに、呆然、口をあんぐり開けてました。
僕の知り合いに海外遡行同人の中心人物が二人いるので、情報はいくらでも手に入るとは思いますから、その方面ではお役に立てるでしょうが、
僕の登攀力に期待されては、お互い命がいくらあっても足りない気が・・・

うーん、でも、非常に魅力的ですね!検討してみます。
屋久島遡行人 | URL | 2010/10/14/Thu 18:28 [EDIT]
ゲンさんへ
3級下でなくて、3級上ですよ。でも、最近本州のメジャーな沢に登ってないから、僕のグレーディングは日本標準からどんどんずれて、甘くなってるかもしれません。

やっぱり、単独で泊まりの沢は、身がビリビリと引き締まりますね。これも、ゲンさんやインヤンさんの影響が強いのですよ。有り難うございます。
屋久島遡行人 | URL | 2010/10/14/Thu 18:34 [EDIT]
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| | 2010/10/17/Sun 17:11 [EDIT]

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