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縄文杉登山
縄文0
 今日、風の中に、今年初めて春の匂いを感じたよ。
 さて今回は、先日行ってきた雪の縄文杉登山の記録。

 なお、登山道を外れて屋久杉に近寄ることは禁じられています。それは、杉の根っこを、硬い靴底で踏んで傷めつけるのを防止する観点からです。以下の記録・写真は、一部フィクション又は合成写真です。ご了承ください。

 年末からこの方、屋久島にも、例年にない寒波が居座り、山間部はかなり雪が積もっているらしい。そう聞くと、冬場には珍しく僕の中の山屋の血が騒ぎ始めた。しばれる寒さの白銀の稜線で、久しぶりに自分の体を苛めたい!でも、この週末は相当荒れ模様の天気ということで、無理せず縄文杉~太古杉~龍神杉縦走コースにすることにした。
 山ガイドのSさんを誘ったら、快く同行してくれることに。

1月28日
 夕方、下山予定地の神の川林道分岐に車を一台デポ。

29日 雨のち小雪
 朝8時小瀬田発。出発地点は荒川登山口とせず白谷雲水峡とした。翌日荒天で道路封鎖になり、車を回収できなくなる可能性を考えての判断。一回Sさんの忘れ物を取りに引き返したため、歩き始めは結局9時50分。最初こそ雨でザックがずぶ濡れになったが、白谷小屋から先は霰、やがて雪に変わる。登山道の積雪も始まり、さすがにこの状況ではすれ違う観光客も全部で10人ちょっと。
 11時20分辻峠、11時50分楠川分れ着。トロッコ道の積雪は10~20センチほど、この日は縄文杉まで日帰りで10人ほど行ったようで、トレースがしっかり付いている。途中沢仲間のYさん(ガイドの仕事中)ともすれ違った。
 13時15分、大株歩道入り口着。縄文杉帰りの3人の韓国人とすれ違う。3人とも軽装だったが、1人は特にスニーカーにペラペラのビニール雨合羽という、夏でもちょっとヤバそうな格好で、けろっとしている。彼を見て、以前厳冬期の祖母山に登った時のことを思い出した。
 それは5年前の正月明け。積雪1メートル以上、膝ラッセルの、そこそこ厳しい単独行だった。夕方、山頂直下の避難小屋にたどり着いたが、他に人はいなかった。一人で晩飯を作っていると、日没間際、布地のズック靴と綿の軍手、ジャンパー姿で全身ビチョビチョになって小屋に転がり込んできた男がいた。こいつは、警察にでも追われてるのか?もう、こっちが殺されるんじゃないか!?という位ぶったまげたのだが、それがやはり、大阪から来た韓国人旅行者だったのだ。
 どうして、彼らはこうも危険に対する認識が甘いんだろう、山をなめんなよ!と憤慨していたら、Sさんが一言。「彼らは全員軍隊を経験してるからね・・・。」
 あ、そうか!韓国人は全員兵役の義務があるんだ!長年の疑問が氷解した瞬間だった。
 彼らは、まともな食糧や装備を持たずに雪山でサバイバルする訓練なんか、軍隊で普通にしてきたのだろう。僕も山岳部で毎年雪中遭難訓練(雪山で雪洞を掘って、食糧・寝袋無しで一晩を過ごす)をやってきたけれど、本物の軍隊経験者からしたらお遊びレベルに違いない。甘いのは、彼ら韓国人ではなく、僕ら日本人なんだ、と気づかされた。僕を含め日本人の甘ったれた根性を叩き直すには、全国民一度は軍隊経験した方がいいかも・・・
ここから先からは登山道。積雪が数十センチとなり、雪も硬く、傾斜もきつくなるので、12本爪アイゼンを着用。トロッコ道ほどしっかり踏み固められたトレースではないが、ラッセルするほどのことはない。
縄文1縄文2
 13時55分、雪化粧したウイルソン株到着。僕ら以外には一人ガイドさんがいるのみ。夏場にもまして、荘厳な雰囲気。
 この先は心臓破りの坂がしばらく続き、2年ぶりに24キロという重荷を背負っていた僕は、少しペースが鈍った。この辺りは、トレースがあるから僕でも行けたが、全くの新雪だったら地図読みが困難な場所だと思う。縄文杉に600回行っているSさんは、途中途中に生えている樹を覚えているから大丈夫なようだが。
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 14時55分、大王杉に到着。中は空洞(うろ)になっていた。
 ついで、夫婦杉(右写真)に到着。夫が伸ばした枝が、妻の幹を貫いて一体化しているという、いかにも仲睦まじげな姿で観光客に人気の杉である。しかし、よく見ると、妻の側にはすぐ後ろにもう1本同じような杉が並んで立っているではないか。こっ、これは実は一夫多妻の杉なのか、と意外な発見に大興奮。が、近くに寄ってさらによく見ると、2本の杉の根元は1本につながっていた。ということは一卵性双生児の姉妹なのか?うーん、植物って不思議。(バカ・・・)
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 15時50分、ついに縄文杉に到着。デッキの手すりも完全に雪で埋まっている。積雪1メートル強。観光名所なので、今まで敬遠して2回しか来たことがなかったが、やはり大した迫力である。僕ら以外誰もおらず、雪に閉ざされた静寂の空間で対面すると、さらにその有難さを感じる。雪を踏みしめ、近づいてみる。真下から仰ぎ見ると、思ったより若々しく力に溢れたその樹肌に驚かされる。思わず、抱きついてしまった。なんだか暖かかった。縄文杉、ありがとう。僕らをお守りください。
縄文9
 16時半、高塚小屋着。先客にカメラマンのUさんがいた。2月1日に天気が好転するのを期待して、撮影目的で今日から4泊の予定とのこと。根気強いなあ。
 カレーを作り、カクテル、リキュールを飲んで、9時過ぎに寝る。小屋の中にテントを張っていたこともあり、一晩中ポカポカ暖かかった。やはり、北海道や日本アルプスの山に比べ、温度に関しては厳しさが全然違う。

30日 雪
 明け方、非常に不快な夢にうなされる。
 6時過ぎ、起床。カルボナーラを食べて、8時、太古杉、龍神杉に向けて出発。
縄文10
 ここから先のルートは全く踏み跡のない新雪だが、温度が低いせいで、硬くしまっている。おかげで、借りてきたスノーシューを履くこともなく、アイゼンでガシガシ登れる。Sさんは、夏道を探しながら進んでいたが、1メートル以上の積雪のためにピンクテープも隠れ、途中でほとんどわからなくなってしまった。それを見て僕は、コンパスを切って独自に進み始める。
 小屋を出て30分。Sさん「なんかいやな感じがする。ここで引き返そう。」と。僕は今回はとにかく行く気満々で気合が入りまくっていたので、ちょっと反発して議論を戦わす。が、このルートに関しては、いかんせん二人の間に経験の差がありすぎる。(彼は7~8回、僕は0回。)最後は僕も納得して引き返し決定。
 高塚小屋まで戻る道中、30分前に僕らがつけたばかりのトレースが既に風雪で消えかかっている箇所があった。おまけに、小屋に着く頃にはかなり激しい雪に変わって、視界も少し悪くなった。結果的に、引き返すならあの時点しかなかったなあ、とSさんの好判断に感謝。
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 高塚小屋から大株歩道入り口までは、昨日あれだけついていたトレースも新雪で断続的に完全消失していた。9時10分縄文杉。10時40分ウイルソン株。12時半楠川分れ。ここから辻峠を登り返し、白谷雲水峡へ戻る。
 結局、今日一日他の登山者と一人もすれ違わなかった。縄文杉ルート、白谷雲水峡を独り占めなんて、屋久島で10年ガイドをやっているSさんですら、初めてとのこと。なんと贅沢な体験だろう。太古杉、龍神杉には行けなかったけれど、良い日に来られたなあ、と満足。
縄文15
 14時半白谷雲水峡駐車場着。これが、いつもバスやレンタカーで大混雑している、あの駐車場かあ?、というほどの寂しい雪景色。屋久島でなく岩手県と言われても信じられそう。(とまってる車、なぜか岩手ナンバーだしぃ・・・)
 県道白谷線は雪で通行止めだった。と言っても、こちらはゲートがゆるいので通り抜けられるのだが、ゲートのしっかりした荒川登山口から出発していたら、当初恐れていた通り車を回収できなくなるところだった。
 ゆのこの湯に立ち寄り、冷え切った体を温めてから帰宅。

 その夜、我が家で鍋をしながら、次回は万一のためにGPSをザックの奥に潜ませて、今回果たせなかった捲土重来を期そうと、Sさんと約束。


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