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二又川上部左股(男谷)・屋久島沢登り記録
男谷0
 結局のところGPSは、頼りにはなったがあまり好きになれなかった。手元にあると(今回は相棒が持っていただけだが)、ついつい依存してしまい、自分で考えながら地図読みすることをしなくなってしまう。その結果、登山という行為が、機械に命令されてただ歩くだけの、苦役に成り下がってしまう気がした。これでは折角の沢登りの楽しさが半減するというものである。

 さて、4月23~24日、今シーズンの初沢として男谷に行って来た。男谷は、尾之間の自分の土地の脇を流れる二又川が、中流部で二つに分かれた内の左股の方である。(右股は女谷。)
 今回は、男谷の源頭をつめて耳岳に登り、さらに稜線を藪漕ぎして割石岳まで縦走する一泊二日の行程。同行は、3年前、女谷をつめてモッチョム岳に行った時も同行してくれた、縄文杉ガイドのK君。
 上の写真赤線が、尾之間温泉近くから見上げた今回のコース。右の耳っぽい形の山が耳岳、左のピークが割石岳。

 23日。曇りのち晴れ。
 前夜から明け方にかけて、まとまった量の雨が降っていたので、水が引くのを待って、朝遅く出発。11:55、標高255mの二又から入渓。水量は平水並み。南に面した沢だが、低地のため鬱蒼とした樹林が生い茂り、暗い。そのせいか、花崗岩にもヌルッとした水苔の付着が多く、キャニオニア2のアクアステルスソールがよく滑る。危ない、危ない。
男谷1男谷2
 1枚目、硯石のようにつるっとした一枚岩の、10mはある滑め滝。2枚目、直登に頑張るK君。
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 標高450mの辺りで突然出てきた、12mの急傾斜の滑め滝(1枚目)。直登は厳しそう。さあ、どう巻こうかと考えていると、GPSを見ていたK君、「道、間違えてますよ」と。確かに、コンパスの方向と微妙に違う。どうやら、ちょっと手前で支流の左股に入り込んだらしい。あ~恥ずかしい、機械に道を教えてもらうなんて・・・。でも、この滝が見られたから、この間違いは良しとしよう。
 本流の右股に戻るべく、間の尾根を乗り越えて行くと、本流脇に抜群のテントサイトと言える広場が出現(2枚目)。倒木の苔も美しい。ここで一回目の休憩とした。本流に戻ってわりとすぐに出てきた、この岩の隙間3mの直登(4枚目)はテクニカルだった。両手を突っ張り、靴底のみならず脛(すね)のフリクションも最大限に使って、何とか突破。 
 その後も、もう一回、間違えて左股の支流に入ってしまった。本流が一部巨岩の下に隠れてしまい、水量が少なく見えたりする所で、支流に入ってしまいやすいので要注意。自分が進んでいる方向を、コンパスでこまめに確認したほうが良い。しかし、GPSの威力は凄い。わずか10mほどの誤まりを、ビシッと指摘してしまう。
男谷7男谷8  男谷9男谷10
 標高600m位から、谷は傾斜を増し、巨岩がゴロゴロ、樹木は減って明るくなる。左手は「プチ小楊子」とも言えそうな30mのスラブ壁。そして、行く手に耳岳の雄姿が唐突に現れる。感動。後ろを振り返ると、太平洋の大海原、いわさきホテルもちっちゃく見える。この眺めの爽快さは、屋久島の沢の中でも女谷と並んで指折りだろう。
 斜度45度ほどの急登を登って行くと、14:30、標高730mで、この谷唯一最大の大滝が出現。上から10-10-5mの3段の滝である(3、4枚目)。「プチ竜王の滝」と言った感じ。とても直登は無理。見るからに、巻きもシビアそう。
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 50mほど下流に戻り、左岸を巻くことにする。まずは、1枚目のつるつる岩の左上に取り付き、上部のバンド状地形を右上に慎重にトラバース。そこからは、2枚目のようなブッシュ帯の急登を、ロープを付けて25‐25‐15mの合計3ピッチで越えた。今日は全てK君にリードしてもらった。Ⅱ級+。その後しばらく藪の中を登り、適当な所で、15mの空中懸垂下降をして谷に復帰した。既に16時。
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 相変わらず、巨岩の急登が続く。耳岳ピークの岩もはっきり見えてきた。下界から見るといかにも(左)耳のような形の岩だから、耳岳という名前なんだと思うが、近くから見ると、それほど耳っぽくない。見る角度の問題かもしれないが。途中、「う○ち」のような変わった形の滝(3枚目)発見。沢をどんどん詰めて行くと、耳岳西壁(4枚目)を回り込むような形で通り過ぎてしまう。厳密に源頭までつめると、耳岳からかなり遠く離れてしまうので、Co1120位で、耳岳ピークすぐ北のコルを目指してトラバースすることにした。これが、わずか100m弱の移動で10分もかからなかったとは思うが、斜度60度はある笹薮の急斜面(5枚目)で、かなりしんどかった。耳岳直下を目指すのなら、もう少し早めに水流から離れて、左岸を斜上していくべきだったかもしれない。
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 コルには、笹薮の中、かすかな刈り分け道(獣道?)があり、それを辿って、5分ほどの登りで耳岳に行った。18:50、最後はご覧のような数mの高さの岩壁で、残念ながらピークには立てず。ピーク直下の祠に拝む。
 この日のテン場は、コルの笹の刈り分け道の上(3枚目)。テン場としては過去最低に近い位ひどい所だが、日没間近で外に良い場所もないので、やむをえない。例によってSBカレーを作って食べる。
 食べながら、(稜線上に道らしきものがないので、)明日割石岳をあきらめてモッチョム岳に逃げようかと迷い始める。と、携帯の電波が通じたので、ここを登ったことのある、沢仲間のYさんに電話して聞いてみることに。さすが、Yさん、割石方面の方が藪が薄くて楽だとの的確なアドバイスをくれた。よって、予定通り、割石岳に向かうことにする。それにしても、GPSといい、携帯電話といい、文明の利器に頼りながら登っている自分が、かなり興醒めだ。
 夜、寝る前の気温、8度。濡れた衣類が恐ろしく寒い。着替えを持ってくるんだったと後悔しても始まらない。9時過ぎ、寝る。


24日。晴れ。
 朝5:30起床。放射冷却のせいで、夜明けの気温、実に3.6度!!しかし、僕の体は3シーズン用羽毛シュラフのおかげで徐々に暖まり、8時間しっかり眠れた。ただ、テン場の傾斜がかなりきつかったので、いつの間にか上体がずり落ちてうずくまる形になっていて、夜中に何度も起き上がっては伸びをしていた記憶がある。
 それに引き換え、隣のツェルトで寝ていたK君。なんと、持ってきた寝具がビバーク用アルミシートのみ。おかげで一晩中寒さに震えていて、一時間しか眠れなかったらしい。ご愁傷様。
男谷21
 昨夕、割石岳方面に二つの割れた石が見えたので、もしやと思っていたが・・・。朝日に輝くその巨岩を見たらもう、疑いようがなくなった。この割れた石こそが、この山名の由来でしょう!でも、下界からはこんな割れ石は見えないよ。登った人だけの特権だね!
 6:55、出発。昔、尾之間集落の人は、モッチョム岳~耳岳~割石岳までの尾之間三山を岳参りで縦走していたようだが、残念ながら今はそんな人もなく、道もほぼ完全に消失していた。おかげで稜線上の猛烈な藪漕ぎである。顔にあちこち切り傷を作り、服もボコボコ穴があいてしまった。ただ、後半は標高が高くなっていくためか、藪の密度が薄くなり、多少楽になった。割石岳南東直下のポコでコンパスを南西に切り直し、割れた石(これらの石はピークではない)に向かう。ポコの下にはまさにテントして下さいと言わんばかりの平地があり、近くで水も得られそう。昨日、あと2~3時間早く出発していれば、当初テン場に予定していたここまで辿り着けたのに、と思うが、仕方がない。
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 さて、割れ石である。近づいて行くと、やはり、でかい!2枚目の中央下の白いのが、K君のヘルメット。(8:45着)
 高さ約10m。見る角度によっては、天柱石(3枚目)だったり、神様のクボ(4枚目)だったり・・・。
 帰ってからネットで調べると、ここからは蛇の口滝の(上部を含む)全景が見下ろせるらしい。それを知らなかったばかりに、気づかなかった。
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 岩の基部には祠、そして「寛永通宝」が。こんな所まで、祠を担ぎ上げてきた江戸時代の人は凄いなあ。
 僕も平成20年の10円玉を奉納する。
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 ここから、割石岳ピーク(三角点)、さらには尾之間歩道までは、所々に風化したピンクテープがあるが、しょっちゅう藪に寸断されるので、ほとんど当てにならない。丘の上の藪の中に、まるで展望のない割石岳ピークがあった(1枚目)。9:30着。
 そこからも、適度な藪漕ぎを織り交ぜながら、11:10、尾之間歩道に出た(2枚目)。尾之間歩道下部(3枚目、4枚目)は、その亜熱帯らしい植生が好きな所。14:35、尾之間温泉下山。
男谷33
 帰り道から眺めた、尾之間三山。右から、モッチョム岳、耳岳、割石岳。

 男谷は、核心の大滝の巻きに、下山の大変さを加味して難易度3級。装備は50mザイルが必要。大滝の巻きでは、ブッシュで中間支点を取れるので、ハーケンやカムの類は不要。ショルダーで越える所が2~3箇所あったので、後続引き上げ用にアブミがあると便利。無くても何とかなるが。耳岳と太平洋の景観の素晴らしさを味わうために、一回は登っても良い沢だと思う。今回のコースは、時間的に日帰りでも行けなくはないが、その場合目茶苦茶体力が必要だと思う。
 

藤の花
 帰り道、尾之間の土地に寄ったら、庭先の野生の藤の花が満開だった。思い返せば、5年前。初めてこの土地を訪れたとき、この藤の花にも魅了されて、土地に一目惚れしてしまったんだなあ。

Comment

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ここは良いですね~!!
特に大滝!あれこそ屋久島の滝ですね。
側壁スラブといい空の抜け具合と言い,
「おお~!」と思わせられました。

気持ちは既に島にあります。
29・30で湯川行ってきます。

これからも沢の紹介,お願いします。
インヤン | URL | 2011/04/28/Thu 19:24 [EDIT]
今頃湯川の中でしょうか。
気をつけて楽しんできてくださいね!

私は今種子島。今回はお会いできずに残念です。
屋久島遡行人 | URL | 2011/04/29/Fri 09:56 [EDIT]
種子島,お疲れ様でした。
今年は連休があれば走りにもいきたいと思っています。
GW以外の屋久島も見たくなりました。

5月の屋久島の匂いは良いですね。言葉ではうまく表現できませんが,南国+新緑の匂いのような感じです。
インヤン | URL | 2011/05/04/Wed 21:39 [EDIT]
早くも始動ですね!
それにしても、やっぱり別世界な景色の屋久島の沢ですね
こんなところに身をおけるなんて、羨ましすぎです

でも、その一部にでも身をおけた経験は何物にも代え難いです
体にしみ込んだ記憶、というか
その節は、本当にありがとうございました

自分は今シーズン、バックカントリーを始めました
まだ雪山に入ってます
げん | URL | 2011/05/05/Thu 19:55 [EDIT]
げんさん、お久しぶりです。

まだ雪山ですかあ!日本も広いですね。
屋久島にいると、沢は半年楽しめますが雪山は滅多に味わえません。

こっちに来る前は、G.W.は毎年のように南アルプスに入ってました。冬みたく寒くないし、雪は固くて進みやすいし、どこでもテント張れるし、人はほとんど誰もいないし、雪氷にリキュールをかけてシャーベットが食べ放題だしで、大好きでした。

今年も屋久島に遊びに来てくださいね。
屋久島遡行人 | URL | 2011/05/05/Thu 21:25 [EDIT]
ごぶさたしています。
お元気でしょうか。

梅雨時っていうのは何か気持ちが沈みがちになります・・・
仕事の日=曇りか晴れ,休日=雨っていう感じです。
遡行人さんはどんな感じでしょうか?

所で先日テレビを見ていたら,大川の滝の増水シーンが流れ,
テロップに撮影:遡行人さんと同じ名字が出ていました。
「もしかして?」と思い,尋ねてみました。
インヤン | URL | 2011/06/10/Fri 16:39 [EDIT]
インヤンさん、こんにちは。
屋久島はもう一か月以上、平日休日関係なく毎日狂ったように雨が降り続いています。先日の台風の時など、一日で50センチも降りました。
本当に鬱陶しいですねえ。一日も早い梅雨明け、沢シーズン到来を期待するばかりです。
大川の滝撮影は、残念ながら僕ではありません。
屋久島遡行人 | URL | 2011/06/10/Fri 16:59 [EDIT]
そうなんですね,ありがとうございます。

島ではそんなに雨が降っているんですね。
今年はぜひ由布川を一緒に突破しませんか。

よろしくお願いします。
インヤン | URL | 2011/06/10/Fri 19:25 [EDIT]
由布川、行ってみたいです。
日程決まったら、早めにご連絡ください。
屋久島遡行人 | URL | 2011/06/11/Sat 00:37 [EDIT]

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