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永田川、右谷、神様のクボ・屋久島沢登り記録
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 9月頭に、黒部川上の廊下~奥の廊下~金木戸川双六谷に行くことになった。予備も入れて9日間に及ぶ長期山行は、6年ぶり。果たして本当に最後まで歩き通せるのか?試金石として、先週末、永田川に2泊3日一人で行ってきた。
 荷物は110リットルザックに、計21キロ。酒や食料を工夫すればこれより3キロは減量できたはずだ。が、なまった体を山モードにもう一度鍛え直す目的で、あえて大きいザックに一杯詰めこんでみた。
7月22日。晴のち曇。 
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 車を永田の中地公園にデポ。今回もsea to summitにこだわり、8:40、永田の海に浸かる。沖合には雲をいただいた口永良部島。振り返ると、目指す永田岳と神様のクボが遥か彼方に望める。ここで、海水を20mlほど容器に汲む。永田岳山頂の祠に奉納して、今年の家作りにあたって永田の杉を使わせてもらうお礼をするためだ。
 いよいよ遡行開始。足がつく水深ではなく、最初はしばらく下手な立ち泳ぎで進んでいた。が、余りに時間がかかるので途中から岸に上がって、土手を歩き始める。まだ7月なのに、ここ屋久島では、もう稲の刈り入れが始まっていた。
 土手の切れたところで沢に戻り、9:50、横河渓谷着。ムサい男の観光客が多数騒いでいたので、少し先に進んで休憩。
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 下流部の渓相はこんな感じ。3日前の台風の影響で水量は多目。泳ぐというほどではないが、かなり水圧が強く、本番の上の廊下渡渉の訓練に少しはなったように思う。
 今日の靴は、アクアステルスソールのキャニオニアⅡ。去年ビャクシン沢で履いて大転倒、尾骨を骨折させられた靴だ。そんな苦い思い出の靴をあえて選んだのは、フェルト足袋では源頭のササ藪漕ぎがきつそうなのと、靴の方が下りの長い登山道で楽だと思ったからだった。が、今回も早速、下流部、茶色い水苔の生えた岩でこけて、左大腿骨頸部を強打してしまった。骨粗鬆症のおばあさんなら、これだけで骨折して遭難だろうなあ。
 しかし、それ以後はヌメリ岩がほとんどなく、派手な転倒は二度とせずにすんだ。
 そして、アクアステルスソールならではの花崗岩に対するフリクションの良さは、期待していた以上に随所で発揮された。斜度30度から50度の岩盤、これはフェルトの足袋では絶対登れないなあという所を、ペタペタ張り付いているかのような感覚で登れたのだ。単独行なのでショルダー技を使えない分、ちょっとした巨岩を直登できると本当に助かる。今回は十ヶ所近く、「アクアステルスソール様々」の所があったが、これらを一々巻いていたら、最終的な所要時間やバテ方がかなり違っていたと思う。
 13:10、ミズトリ沢出合。14:50、尾の上沢出合。16:30、下タカヨケ沢出合。
 久しぶりの本格的な沢のため体力がついていかず、今一つペースが上がらない。数十メートル歩いては岩に腰かけてばかりいる。これでは、明日中に永田岳までたどり着けないぞ、と焦り始めて、最後のワンピッチはちょっと頑張る。
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 標高700m位を目標にしていたが、標高720m位の右岸におあつらえ向きのテントサイト発見(1枚目)。水面より3m位高く、増水してもさらに奥にも逃げ道はある。下は多少傾斜はあるも腐葉土。18:45、ここにテントを張る。ビールを飲みつつ夕食を作っていると、永田集落方面に夕日が沈んでいった。21:00就寝。

7月23日。晴のち曇。
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 4:45起床。5:40出発。枝沢を分けてきた分、水量は少なくなり、渡渉は楽になるが、沢の傾斜は少しずつきつくなり始める。昨日痛めた左大腿骨は、今日は治っており、体調はまずまず。
 途中の小滝を左岸のブッシュから巻いている時のこと。つかんでいた枝が実は枯れ枝で、ボキッと折れて、1m下に頭から落下。気を引き締めくちゃと思って歩き始めたその2分後に、今度は足を滑らせ、1.5m下に体左側面から落下。うーん・・・・・・・・
 7:20、上の岩屋(2枚目)に到着。(下の岩屋は、注意していなかったので、気付かずに通り過ぎた。)ここで沢は二手に分かれているが、僕は右又である右谷に入る。
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 右谷に入ると、沢は一気に斜度を増して、標高を稼ぎ始める。後ろを振り返ると、朝日を浴びた障子岳が格好いい。3枚目の2段の滝は、1段目は確か直登し、2段目は右(左岸)から巻いた。
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 8:55、標高1210~1220mあたりで、左から神様のクボが合流する。と言っても、神様のクボは、巨岩とブッシュに覆われており、水はほとんど伏流で水量が少なく、うっかりすると見落としかねない。高度計に注意しながら進むのが確実。
 神様のクボの出だしはとにかく藪漕ぎで進みにくいという記録が多かったが、右谷を1220m位までできるだけ登っておいて、神様のクボの左岸ギリギリから入ると、実はそれほど大変でもなかった。左岸に迫る岩壁がゆえに土壌が薄く、シャクナゲの植生がまばらなせいだろう。(1枚目は登り始めを下から。2枚目は上から振り返って。3枚目は途中の山紫陽花。)
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 標高1400m近くなってくると、長かった藪漕ぎが落ち着き、ようやく沢歩きに戻る。
 そして、突如として、視界が開け、あの神様のクボと永田岳の岩峰が目の前に姿を現す。真っ青なスカイライン、そしてピークへ一気に突き上げる沢のラインの美しさに、俄然登高意欲がかき立てられる。爽快気分で足取りも軽く、一歩一歩高みへ進む。
 標高1600m辺りで、源頭、いったん水涸れ。ここで水を汲んでおく。
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 しかし、ここから先が真の地獄だった。沢筋を詰めるも、1枚目の如く、左右両岸からシャクナゲの枝が突き出していて、這って進む以外ない。ザックを背負ったままでは通過できず、ザックを下して先に持ち上げてから、自分の体を通したり。しかも、うずくまって進んでいる内に、どうも左方向にずれてしまったことが途中で判明。正しいルートに復帰すべく、かなりの斜度のシャクナゲの海(2枚目)を、30mほどトラバースする羽目になっちまった。
 シャクナゲの枝に足を置いて、地面から3m程の高さの所を空中遊泳。途中で枝が曲がって下に転落、と言っても地面に叩きつけられることはなく、すぐ下の別のシャクナゲの枝で止まるのだが。その後が、ザックがあちこちの枝に引っかかるは、足場は無いはで、体勢を立て直すのがもう大変。数m進んではへたりこんで休憩を入れる。こんなペースで、今日中にピークに着けるのだろうか。泣きたくなった。
 このシャクナゲの海も実は左岸ギリギリのコースを選べばもう少し楽だったのかもしれない。今となっては確かめようもないが。
 標高1750mくらいでようやく、シャクナゲの海は終わりを告げる(3枚目はシャクナゲの海を上から振り返って)。
 ここから先は、ササ藪の海(4枚目)。シャクナゲの海よりは楽だが、もうバテバテでペースは上がらず、ゴールが目と鼻の先に見えているのに、なかなか近付かないもどかしさ。最初、僕はササをつかんではただ闇雲に登っていたのだ。しかし途中で、谷のほぼ真ん中に、涸れ沢のように岩がゴロゴロしているラインを発見。後半はそこを辿ると、それほど苦労無く上がれた。ここでも、「アクアステルスソール様々」だと思った。フェルト足袋とササ藪は、親指の股にササが入り込むは、滑るはで、相性最悪だからね。
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 14:30、ついに、ピーク直下のコル到着。生憎ガスが立ち込めてしまい、永田集落や東シナ海の展望は拝めず。
 鉄人インヤンさんが15時間半で遡行しているので、僕は20時間位かかるだろうと見ていたが、19時間。海から入渓した分1時間余計にかかっていることも考えると、まあ僕としては上出来な部類か。
 大休憩して、永田岳に向かう。数分の歩きで15:15ピーク着。
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 霞たなびくロウソク岩を眺めつつ、永田歩道を下山し、16:20、鹿の沢小屋着。小屋の中にテントを張って、荷物を整理していると、あれ!永田の浜で汲んだ海水が出てきた。せっかくかついできたのに、疲労困憊のあまり、祠に海水を奉納するのを忘れてしまったのだ。山頂で祠を見れば思い出したとは思うが、永田岳の祠は岩陰にあって今回は目に入らなかったので、完全に失念してしまった。なんとも情けない。仕方ないので、鹿の沢小屋に奉納する。
 後から、若いスイス人カップルがやってきて、水場近くの空き地にテントを張っていた。この日は疲れがすごくて、せっかく作った夕食も食べられずに半分以上残してしまった。19:50、就寝。

7月24日。曇。
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 5時起床。6時出発。永田歩道を七つ渡を通り下山。
 キャニオニアⅡのサイズが合わないのか、作りが固いのか、これを一日履くと、両足の親指の爪が剥がれ、足首は靴ずれで大変なことになる。登りではそれでもそんなに気にならないのだが、下りは足先に負荷がかかる分、応える。余りに辛いので、後ろ向きに降りることにしてみた。ちょっと、めまいのような不思議な感覚がするが、少なくとも爪先は痛くなくて楽ちん楽ちん。転ばないように足元だけは注意して見て、っと。。。
 一回休憩して、さあまた歩き始めようと思ったら、道しるべのピンクテープが見当たらない。あ、有った、こっちだと思って進んだが、どうもやけに登り返しが長すぎる。コンパスをチェックしたら、なんと今さっき下って来たばかりの道を、逆走してるではないか!青木ヶ原の樹海じゃないんだから。人間、ここまで馬鹿な行動をしてしまうのか?我ながらびっくり。
 やっぱり後ろ向きに進んだりするから方向感覚がなくなっちゃうんだと反省。ザックの底から、こんな時のために持ってきていたフェルト足袋を出して履き換えた。その途中、後ろから来たスイス人カップルに追い抜かれてしまう。スイス人とは言うものの、どう見てもアルピニストではなく、一般観光客なのだが・・・。いかに今日の僕の下りが遅いペースということか。フェルトは落ち葉の上では滑ってしまい今一つだが、痛みがない分遥かに楽。履き換えた後は走るように下りて、件のスイス人も抜き返す。
 それにしても、永田歩道は、地図やコンパスを持たない軽率な登山者が入り込んだら、かなりの確率で遭難できるルートだと思う。決して荒れ果てている訳ではないのだが、ピンクテープが少なめで、かつ登山道脇の植生に、自然に還ろうとする勢いがありすぎるのだ。
 12:25、登山口着。ここでも林道を左に行くべきところを、ヘルメットごとザックの中にしまった地図をわざわざ出すのが面倒くさくて、地図確認を怠り、右に行ってしまう。400mも歩いてから間違いに気付いた次第。いやはや、単独行で疲れがたまってくると、ミスを指摘してくれる人が誰もいないから、本当に危ないよ。
 13:30、中地公園、車デポ地点着。「ただいま、ビーすけ。」

 

 永田川は、技術的に特別難しいところはないが、1900m近くを一気に突き上げるその標高差に敬意を表して、4級としたい。(今回単独で行ったから余計難しく感じただけで、本当は3級上位かな?)右谷~神様のクボとつなげるのは、sea to summitのピーク直登沢という点で、屋久島でも一番美しいコースどりだと思う。が、源頭のあの藪漕ぎはもう二度と味わいたくない。
 靴はアクアステルスが極めて有効。ザイルは増水時の高巻きアップザイレン用としてだけ考えれば十分。

Comment

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いや~懐かしい景色,ありがとうございます。

最初の写真で,「おおっ」と引き込まれてしまいました。
あそこのツメはとにかくシャクナゲヤブが強激烈でした。
写真見ていると思い出され,懐かしい想いに浸れました。

神様のクボの大ギャップ,七つ渡しの明鏡止水ぶり,
やはり屋久島は最高ですね!

9月の上の廊下,ご一緒できないのが残念ですが、
記録を楽しみにしています。
インヤン | URL | 2011/07/27/Wed 13:04 [EDIT]
インヤンさんでも、あのシャクナゲヤブには苦戦したんですね。
とすると、あそこに関しては、「ここが正解」なんて楽勝ルートは存在しないのかもしれませんね。
でも、あのヤブをまともに漕ぎつつ、15時間半で遡行完了というのは、やはりインヤンさんのスピードの速さが際立ちます。僕ももっと鍛えなきゃ。
屋久島遡行人 | URL | 2011/07/27/Wed 16:44 [EDIT]
>シャクナゲの枝に足を置いて、地面から3m程の高さの所を空中遊泳。途中で枝が曲がって下に転落、と言っても地面に叩きつけられることはなく、すぐ下の別のシャクナゲの枝で止まるのだが・・・

そうそう,そうなんですよね。わかります,これ。
まともに漕げないので,シャクナゲの枝上をゴロゴロ転がりながら横移動したり,サルのように枝から枝へ飛び移ったりと,シャクナゲ帯は独特のムーブが要求されますよね。何度となく叫びたい衝動にかられました。

ビャクシン沢にも惹かれ始めています・・・。
インヤン | URL | 2011/07/27/Wed 17:39 [EDIT]
シャクナゲの藪漕ぎ・・・・
僕の知る中では、知床のお化け這い松の藪漕ぎと双壁でした。
あれは経験したものでないとわからないですよねえ!
あとは、いばら系の植物も、痛くていやだなあ。
あ、あと上越の根曲がり竹も・・・
って、結局藪はどんな奴でも嫌いです!!
屋久島遡行人 | URL | 2011/07/27/Wed 20:09 [EDIT]
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| | 2011/07/27/Wed 21:34 [EDIT]
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| | 2011/07/28/Thu 08:55 [EDIT]
お疲れ様でした。
 空中浮遊のヤブコギ・・あれは心を潰されますね。でかいザックだとなおさらでしょう。お疲れ様でした。
 まぁ単独行なんてそうはしないのでしょうが、こう云うのあるのご存知ですか?↓
http://www.findmespot.com/en/whousesspot/index.php?option=com_content&view=article&id=90&Itemid=39

 無粋な電子機器ではありますが 最後の命綱としてならアリではないでしょうか。
 けどこう云うの持って 逆に単独行ばかり行きはじめたら逆に良くないのかな。
ざる洗い | URL | 2011/07/28/Thu 15:12 [EDIT]
SPOT
すごい機械だね、これ。山屋にとって、究極の遭難対策用品と言えるんじゃないだろうか。
いずれそのうち、GPSなしで山に入るのは、地図もコンパスも持たずに山に入るのと同じ、そして、SPOTを持たずして山に入るのは、登山届も出さずに山に入るのと同じくらい非常識なこととして非難される時代が来るのだろうか。
自分は何のために山に向かうのか、ということも考えあわせると、かなり複雑な気分です。
屋久島遡行人 | URL | 2011/07/28/Thu 22:25 [EDIT]

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