スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
竹小舞掻き・その4
1_20130321173522.gif2.gif3.gif
 『土壁のつくりかた』を読んでいた、3歳2ヶ月の息子。本の中に上の写真を見つけて「これ、うちといっしょだねぇ」と言って喜んでいたのだが、2枚目の写真だけは「これ、うちとちがうねぇ」と。「どこが違うの?」のと聞くと、縦の間渡し竹を指差して、「タテがちがうねぇ」と。どうやら、縦の間渡し竹に、我が家は割竹を使ったのに、写真では丸竹を使っていることに気付いたらしい。
 これって、もしかして、天才児?それとも親以上の土壁バカ?
 
 連日荒壁塗りそして大直しがどんどん進んでいるのだが、実は、まだ竹小舞もできていない所が和室の床の間周りに3面だけあった。12月9日~10日に、そのうちの2面を小舞掻きからコンセントボックス取り付けや荒壁塗りまで一人で仕上げた(下の5枚連続写真)。ここは、角がアール仕上げの大壁になっていて、小舞掻きや壁塗りにもちょっとした工夫が必要だった。残る最後の1面は、これまで培った竹小舞技術の集大成とするべく、ちょっと凝ったものにする予定だが、それについては後日のお楽しみ。

 今日は、今後土壁作りをする人のために以前の記事を補足する形で、竹小舞を掻く上での細かいポイント、技術的なコツみたいなものをまとめてみたい。ただし、もちろん素人が考えたことなので、本職の竹小舞職人さんが読んだら間違っていることもあるかもしれない。もしそういったことがあれば、是非ご指摘下さい。

1.『土壁のつくりかた』
 まずは、土壁ネットワークが出している、『土壁のつくりかた』という本を入手しよう。送付手数料(確か500円)だけ、という格安の冊子だが、土壁、特に竹小舞を組む上での技術的なことの基本は、全てこれで押さえられる。絶対にオススメ!

2.間渡し竹の穴あけについて
 セルフビルドで竹小舞を掻こうという場合、小屋レベルのサイズでない限り、全てを一人でやりきるのはちょっと無理だと思う。となると、知り合いに応援をお願いすることになるのだが、その時に、作り手によって出来上がりが余りに違ってしまったら、やはり問題である。
 では、どこで違いが出てくるのか。竹を切ったり縄を巻いたりするのは単純作業なので、よほど手抜きをしない限り、初めての人と手慣れた人とで、出来上がりにそれほど違いは出ない。一番違いが出るのが、間渡し竹と小舞竹を、どこに何本ずつ配置するかという問題だと思う。
 小舞竹の本数を多く入れ過ぎると、土がはみ出す隙間が小さくなって、土壁の表裏がつながらなくなってしまう。逆に竹が少な過ぎると、隙間だらけになって、壁の強度が弱まるし、土もうまく竹に引っかからなくなる。間渡し竹(縄で結ぶ部分)の本数を多くすると、壁の剛性は強まるが、縄を結ぶ手間は本数に比例して大変になる。極端な話、単純に壁の強さだけを考えれば、小舞竹を入れずに、全てを間渡し竹にして縄を巻きつければいい。が、それでは、1日かけても1面仕上げられないだろう。この辺のバランスを考えるのが結構難しいのだ。
 よって、竹の配置を考え、柱や土台、梁に穴あけをする作業は、竹小舞の原理原則を分かっている人が、一人で全てやり通した方がいいと思う。これさえきちんとやっておくと、以後の作業をする人が、余計な頭を悩ます必要がなくなる。
 
 以下は、今回僕がとったやり方。もちろんこれだけが正解と言う訳ではないが、今後、もう一回土壁を作るときの自分の覚え書きとして残しておく。
①縦間渡し竹の配置。
 左右の柱から、それぞれ8(~9)センチの所に、間渡し竹用の穴を開ける。中間部分は、およそ25~30センチ間隔になるように、等分に穴を開ける。例えば中間の長さが100センチなら、四等分で25、50、75センチの所に穴を開ける。66センチならば、三等分で22、44センチの所か、二等分で33センチの所に穴を開ける。穴の間隔が狭くなる分には、間渡し竹に縄を巻く手間が多くなるだけなのでいいのだが、間隔が広すぎると壁の強度に問題が出てくると思ったので、34センチを越えないようにした。
②横間渡し竹の配置
 貫の上下、それぞれ13(~14)センチの所に、間渡し竹用の穴を開ける。中間部分の穴あけについては、上と同様。例えば36センチならば、二等分で18センチの所に穴を開けた。
③穴のあけ方
 間渡し竹を差し込む時に楽なように、穴を開ける深さを工夫しよう。縦の間渡し竹用の穴なら、上を深く、下を浅くするのだ。(ふすまを付けたり外したりする時のことを考えればわかるでしょ。)横の間渡し竹用の穴なら、東西南北どの順番に深くあけるかを決めて、それを竹を組む人にも伝えればよい。間渡し竹を差し込む時は、(特に丸竹の場合、根元側の)太い方を深い穴側に入れてから、竹をしならせて、反対の浅い穴に差し込むようにすると入れやすい。
 穴の大きさは直径15ミリとした。
④小舞竹の本数決め
1_20130321173936.jpg
 穴の間隔によって、その間に入れる小舞竹の本数を以下のように決め、竹を組む人のために柱等に直接書き込んだ。間隔が6~11センチの時は1本、11~17センチの時は2本、16~23センチの時は3本、21~28センチの時は4本、26~34センチの時は5本。
 実際に縄を巻くと気付くのだが、小舞竹の隙間は、縦長よりも横長の穴にした方が、指を入れて作業しやすい。ということは、縦の小舞竹の本数は横の本数に比べて気持ち少なめにするのが良いということだ。だから、例えば穴の間隔が22センチの時は、縦なら小舞竹を3本、横なら小舞竹を4本、というようにした。このやり方でやると、大体、穴の大きさが、縦2.5~3センチ、横3~3.5センチになる。
 ここで、重大な注意がある。 
 ネット上で見られる竹小舞の画像は、ほぼ、このような間隔で竹を配置しているようだし、伝統的な工法はだいたいこんな間隔で作られているのだと思う。しかし、建設省告示第1100号の基準を満たして、壁倍率(耐力)が1.5倍で計算してもらえる土壁にしようとすると、これの1.5倍位細かく竹を組まないといけない。そうすると、割竹の幅が2.5センチなのに対して穴の大きさが1.5センチ四方まで小さくなってしまい、縄を結んでいくのが非常に大変になるのだが・・・。
 この問題に関しては、「木の家ネット」のこのページに詳しく書かれている。
馬鹿棒の利用 
2_20130321173935.jpg3_20130321173938.jpg
 賢明な読者諸氏なら既にお気づきのように、一つの部屋、一つのフロアで壁の高さはそう変わるものではない。ということは、上記の竹の配置や本数を一回決めてしまったら、後は写真のような馬鹿棒を作るべし。あとは、それを柱と貫に当てて、目印通りに、穴を開ける位置と小舞竹の本数を柱に書き写していけばいいだけである。これなら本当に、馬鹿でも間違いなくできる。だから「馬鹿棒」。

3.竹の切り方について
 竹を鋸で所定の長さに切るときは、1本ずつ切るよりも、5本位束ねて(表裏を揃えて重ねる形にして)、一気に切った方が効率的。竹にドリルで釘穴を開けるときも同様。
4_20130321173936.jpg
 間渡し竹に割竹を使う場合、先端を穴に差し込めるように削らなくてはならない。その時、左端のように尖らせるせるのではなく、真ん中二つのように、肩をつけるといい。そうすると、末端で結んだ縄が肩で引っかかるので、引っ張る内に下にずれ落ちてくるということがなくて済む。中左は、鉛筆を削る要領で、鉈で削ったもの。中右は、横方向に鋸で刻み目を付けた後に、鉈で一気に削り落したもの。こっちの方がスピードは速いが、誤って鉈で手を切らないように注意。僕は誤って左手に鉈を打ちおろし、手術、入院する羽目に!そういうことにならないように、鉈を使う時は革製の丈夫な作業用手袋をするのがいいかもしれない。
 先端を必要以上に細く削ると、穴の中でぐらついてしまい、そのまま小舞を組むと小舞壁全体がぐらぐらしてくるので要注意。右端の削り落とした竹の破片は、そんな場合に、穴の隙間に詰め込んでしっかり固定するのに丁度良い。

4.縄の編み方について
5_20130321173937.jpg6_20130321174007.jpg
7_20130321174004.jpg8_20130321174008.jpg
9_20130321174009.jpg
 以前の記事では、棕櫚縄を結ぶ時に、縦方向から始めると書いた。しかし、写真のように横方向から始めるた方が幾分早くできるかもしれない。こうすることで、縦方向の竹の貫への仮固定(釘打ち)を、間渡し竹→小舞竹(1枚目→2枚目)と一気に進めることができて、作業の流れが良いからだ。
10_20130321174007.jpg
 貫に対しては、棕櫚縄を巻くべきかどうか迷ったが、土の接着性のことを考えて(ツルツルの木の表面には土が付きにくい)、巻くことにした。貫に巻くときは二人で壁の両側から向かい合って作業した方が効率的なのだが、どうしても一人でしなくてはならない場合は、以前も紹介した上の写真の金具が必須だし、また、上述の如く棕櫚縄結びを横方向から始めた方が絶対に良い。縦方向から始めてしまうと、最後に貫に巻きつけるときには横の小舞竹が組まれていて、指を入れる隙間が非常に狭く、極端に難易度が上がるからだ。
11_20130321174537.jpg
 写真のような貫が入っていない小さな壁の小舞を掻くのは、結構難しい。縦の間渡し竹を釘で貫に仮固定することが出来ないので、ぐにゃぐにゃした状態で縄を結び続けなくてはならないからだ。そんな壁で、結ぶ手の力を緩めると、竹組みが一気に崩れてしまう。でも、縄の長さが足りなくなったり、携帯電話が鳴ったりで、手を離したい時もある。
12_20130321174534.jpg13_20130321174537.jpg
 そんな時に役立ったのが、左の強力グリップ。Sさんが使っていたバイスグリップ(右写真)というのは、さらに強力そうだった。

 以上、重箱の隅をつつくような、細かい竹小舞テクニック集でした。


おまけ
14_20130321174540.jpg
 我が家の庭の岩に映った、竹小舞の陰影。土を塗った今はもう、この景色は見られない。

Comment

管理人にのみ表示する

土壁凄いですね。
読んでいてその専門性の高さが伝わってきます。
そのこだわりは流石遡行人さんだな,と思っています。

来年の尾之間が楽しみです!
インヤン | URL | 2011/12/15/Thu 18:37 [EDIT]
いえいえ、
専門性が高いというよりも、自分が興味を持ったものに対して、飽きるまでは夢中で追求する性格のようです。
インヤンさんの阿蘇一周トレランの凄さに比べたら足元にも及びませんよ。
屋久島遡行人 | URL | 2011/12/15/Thu 19:44 [EDIT]
露天五右衛門風呂のたてるです。

着々と進行してますね。
土壁材量の圧縮試験、すばらしい。

当方への鍵コメも、見るところが鋭い!さすが!です。
写真左側の特徴的な山容は、冬季入山届が必要なあの山です。

| URL | 2011/12/18/Sun 16:03 [EDIT]
たてる様
やっぱり、そうでしたか。となると、これから札幌以上の豪雪でしょうね。
お体お気を付け下さい。
屋久島遡行人 | URL | 2011/12/18/Sun 17:05 [EDIT]

Track Back
TB*URL

Copyright © 源頭の風景を求めて・・・. all rights reserved.
Design by Pixel映画山脈

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。