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拭き漆
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 家の中のあちこちにある檜の板に、漆を塗ってみた。
 塗ると言っても、拭き漆(ふきうるし)もしくは摺り漆(すりうるし)という、初心者でもできる簡単な技法。
 
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 なぜ、檜に漆なのかというと、檜に柿渋+弁柄+荏油を塗ってみたら、ペンキみたいにのっぺりした感じの仕上がりになってしまい、安っぽくなってしまったのだ(1枚目は左側が柿渋+荏油、右側が柿渋+弁柄+荏油)。逆に漆を塗ると、鼈甲(べっこう)のような光沢と厚みのある飴色で、かつ虎杢(とらもく)の木目が浮き上がってきて、非常に質感が高まったのである(2枚目)。
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 杉の場合は、これがまた反対で、以前から塗っていた柿渋+(弁柄+)荏油(1枚目)の方が、今回試した漆(2枚目)よりも木目の出方がきれいだから、不思議である。まあ、この辺は人それぞれの好みの問題も大きいと思うが。
 やはり、人生、自分で一々試行錯誤してみないと、本当に望むものは手に入らないのだ。 

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 事前に洗面所の甲板(上の写真)、ダイニングテーブル、階段の踏み板をペンキ屋さんにやってもらい、これで要領がつかめた所で、7月22日に自分でやってみた。

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 僕が塗るのは、台所の甲板(カウンター)2枚。
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 そして、玄関の上がり框。結構目立つところだし、面積も大きい。挑戦し甲斐がある。

 ところで、僕は昔から、漆のアレルギー体質。学生時代の5年間、北海道の小樽近郊の赤岩と言う所で岩登りの練習をしていて、そこに自生する漆の木にしょっちゅう触れる内に、感作されたらしい。今では漆の枝に触れただけで、全身猛烈な湿疹に1週間は悩まされ、ステロイドホルモン薬を飲んで何とか抑え込む始末。
 それでも今回の拭き漆はどうしても自分でもやってみたくて、冒頭写真の如く、手術用の防水ガウンに、マスクやゴム手袋という、完全防備で臨んだ。
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 まずは、養生テープを張り巡らして周辺をガード。やすりで木の板の表面を綺麗にする。240番→600番→1000番の紙やすりを使って、とにかくスベスベに仕上げる。
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 その後、ようやく塗りに入る。大物に取り掛かる前に、まずは花瓶の敷板でトライしてみる。
 ネットで調べた範囲では、1度目の塗りは、液状の生漆を同量のテレピン油で2倍に希釈して使い、2度目以降は徐々に油を減らしていくということだった。が、ペンキ屋さん情報でそれではかなり濃色に仕上がるということがわかったので、テレピン油を漆の倍量入れて3倍希釈したもので、2~3度重ね塗りした。
 刷毛で漆を塗っては、布切れで円を描くように満遍なくこすりつけて木に刷り込んでいく動作を繰り返す。
 1度塗った後、硬化したら2度目塗りをしていい。硬化(乾燥とは違う)にかかる時間は湿度によって異なり、湿度が高いほど早く固まる。今回のように梅雨時のムシムシした時なら、1時間もおけば十分のようだ。丸一日経てば、完全に硬化して、使用に耐えうる。
 刷毛で塗って仕上げるのと異なり、布で拭き込むので、簡単に刷毛むらなく仕上がることができた。予想以上の仕上がりに自信をつけて、3枚の大物を一気に片付けてみた。
 3枚の出来上がりは、それぞれこんな感じ↓。
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 遠目には良いのだが、近くで見ると、なんだかこすり傷が目立つ。実は、やすりをかけるときに、木の棒を芯にしてこすると力が入りやすいかな、と思って、やってみたのだ。しかし、結果的にこれが失敗の素。棒の先端の角の部分で力が強く入り過ぎたのか、目に見えないこすり傷が多数出来ていたようだ。漆を塗った途端に、このわずかなこすり傷が大きく浮かび上がってしまった。やはり、柔らかな手先を使って丁寧にやすりがけすべきであった。
 しかも、木目に沿ってやすりを動かすという大鉄則を無視した結果、木目と垂直方向にこすり傷が入っており、極めて見苦しい。(2枚目以降は、この反省を生かしてちゃんときれいに仕上げたよ。)
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 さらに、養生テープをはがしてみると、壁にべったり貼りつけていなかった隙間から、毛細管現象で漆が入り込み、漆喰に漆の汚れが付いてしまった。きたない!ちなみにこれは、後日、漆喰を水で薄めて細筆で塗ってみたが、今一つ上手く行かず、思い切って修正ペンで塗ってみたら、ほとんど目立たなくなった。
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 そして、養生テープをはがす時、木の末口側から剥がしてしまうと、テープに木片がくっついて線状に剥がれてきてしまい、木材に欠損部ができてしまう。テープを剥がす時は木の元口側からが鉄則。写真は、欠損部に紙やすりをかけて目立たなくして、そこに再塗装したもの。
 以上、今回の反省は四つ。あーあ、これだから、素人は、失敗ばかりで困るよ。自己嫌悪。

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 それでも、この複雑な木目が実に美しい。ただの材木が、一挙に工芸品に変化。まるで一流バーのカウンターのよう、ここで飲むカクテルはきっと美味いに違いない、と自己満足。

 ちなみに、翌日以降、両手背を中心に、全身にしっかり湿疹が出た。痒くて痒くて、夜中に何度も起きるほど。どうやら漆はゴム手袋をも浸透して行くらしい。次回以降は、ピンセットでも使って拭くしかないか。


 後日談。
 2~3週間もすると、漆の色は大分退色した。柿渋が紫外線に当たってどんどん濃くなるのと反対である。この辺のことを考慮して、拭き漆は最初から濃い目に重ね塗りしてもいいかもしれない。(僕がやった3倍希釈でなく、定石通り2倍希釈から始めるとか。)

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