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中間川上部(右又)・屋久島沢下り記録
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 昨日の記事の続きで、8月18日の中間川上部の下降について。
 中間川上部の記録は太田五雄さんの本に残っている。それによると、林道終点から沢に下り立ってすぐの標高480m位に二股があり、左又が5mの滝を懸ける本流と言うことになっている。ところが、国土地理院の地形図を見ても、それらしき二股は見当たらない。ならば、地形図で、本流らしきものはどこを通るかを探してみると、烏帽子岳登山道標高1325mのコルから発する沢が最も長く、かつ集水域も広そうである。そういう訳でここを本流と考えて、このコルから下ってみることにした。
 太田さんの記録では初級となっていたが、もちろん念のために、アップザイレン用のサブザイルは持参である。地形図を見る限り、危なそうなところは、標高750m~800mのゴルジュ帯か。ここでザイルを使うかもしれない。
 
 8月18日。曇りのち雨。
 朝5:20起床。久しぶりに10時間睡眠で昨日の疲れは完全にとれている。
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 まだ薄暗い中、6時出発。源頭は倒木が少しある位で藪はなく、昨日と打って変わって歩きやすい。快調なペースでどんどん標高を下げていく。
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 ところが、標高1000mを切ったあたりから、急に沢は険悪になっていく。まだゴルジュ帯は先のはずなのだが・・・。
 1枚目は確か左岸巻き。2枚目は右岸のテラスをトラバースして、最後は立木でアップザイレン。20mサブザイルで十分足りたが、今後予想される展開を考えると、もっと長目の、せめて30mザイルを持ってくれば良かった(自分は30mは持ってないので、帰ったら即買おうと思った)と思った。
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 その後、上のような穏やかな渓相になり、ホッとしたのもつかの間。
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 すぐに1枚目の滝。ウワー、参ったなあ。まったく予想外の展開。太田さんの記事の初級の沢とはどう考えても違う。間違った沢を下ってるのかとも思ったが、コンパスの方角はあっている。この滝も、右岸を途中までクライムダウンし、後は立木で何とかアップザイレン。下から見上げると2枚目のような12mはある滝だった。
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 続くこれは左岸を高巻いた。
 その後もとにかく凄い。サイズとしては5~10mでそんなに大きくないのだが、難易度の高い滝が次々と連続する。
 その中でも印象に残った滝を5つ選んでみた。これら5つの滝をどうやって下ったか、沢屋の人は是非、ちょっと考えて欲しい。
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 ①左岸の端のクラック(倒木の直上)に手を入れ、中央寄りのクラックに足を挟み、斜めの体勢で慎重にクライムダウン。
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 ②これは確か、左岸を巻いた。
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 ③上半分は倒木を掴んでクライムダウン。途中から、右岸のテラスの草木を掴みながらより右岸にジワジワトラバース。写真左端のテラスに着いたらあとはクライムダウン。我ながら、この写真を見ると、ようやったわい、と唖然とする。
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 ④流芯の中、倒木と巨岩のチムニー状すき間に体を挟み込み、全身のフリクションを生かしながらゆっくりと下降。(この降り方をしたのは確かこの滝だったと思うが、もしかしたら別の滝だったかもしれない。記憶あやふや。)
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 ⑤真ん中の岩を駆け下りる。いざ走り始めると非常に滑る岩で、スケートリンクを滑走するかのごとく、加速がすごいのなんの。ほんの4mほどを走る間に後悔含めいろんな感情が脳裏に浮かんできた。そして、ジャンプ。足や尻を打たないよう、空中で仰向けの体勢になり、背中のザックから着水。無事思い描いたフォームで着水し、水深も上から見た目通り十分にあったので、ダメージゼロで行けた。

 あーあ、得意になって馬鹿なこと書いちゃった。こんな気違いじみた下り方の記録を読んだら、一緒に沢に行こうと言う人がますますいなくなるんだろうな。

 それにしても、今まで訪れた人が一体何人いるのかというこのマイナーで奥深いゴルジュの中で、たった一人もがいている自分。普段は暴走している脳味噌の下らないおしゃべりが少し沈静化しているのに対して、身体の一つ一つの細胞は何とか生き残ろうと思い切り活性化しているのがわかる。これは沢の中(特に単独行)でしか得られない感覚。まさに身体感覚の屹立ってやつなんだろうか。とにかく快感。
 
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 振り返ると実に美しい滝(1枚目)。しかし、9時頃から土砂降りの雨が降り始め、鉄砲水の恐怖に脅かされて、逃げるように走り下る。幸いにして、最後1時間はヤバい滝はなかった。それにしても、沢の方角は完全に地形図どおりなのだが、標高635mや530mで入り込むべき枝沢が、急いでいたせいなのかまるで見当たらず、狐につままれた気分。
 10:25、標高490mほどで、以前この川の下部を遡上してきた時に見覚えのある枝沢の小滝(2枚目)を発見。ここが林道終点から下り立つところ、即ち今回のゴール地点である。実は、この場所のすぐ上部が二股になっており、僕が下って来たのは右又。しかし、水量は1:1ないし、3:2で左又の方が多い感じ。ということは、僕が下ってきたのは本流ではなく、太田さんとは、やはりスタート地点から全く別の沢を遡行していたことになる。これで難易度の記載に関する疑問が解けた。それにしても、この中間川流域に関する限り、国土地理院の地図は、沢筋(枝沢)の記載に明らかに誤りが多すぎると思った。
 左岸の疎林帯を登り林道に出て、11時丁度、車デポ地点到着。


 中間川上部(今回行った右又は支流かもしれないが)は難易度4級。小粒ながらビリリと辛い山椒のような滝が多数。巻きを多用すれば、せいぜい20mの高巻きで済むようなものがほとんどなのだが、それではつまらない。なるたけ中を突破しようとすると、屋久島内でもかなり難しい部類の沢であることは間違いない。登りに使う場合、各種登攀具を十二分に揃えて望まれたい。エキサイティングでアドレナリンが出まくる沢であることを保証する。
 残念ながら、水量的には本流ではないようだが、負け惜しみではなく、計らずもこんなに面白い沢に行けて(そして生きて還れて)良かった。神に感謝。


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| | 2012/08/20/Mon 14:21 [EDIT]
・・・凄い下降でしたね。お疲れ様でした。

>5枚目:真ん中の岩を駆け下りる。・・・
えっ?あの岩を走って最後は仰向けドボンですか?遡行人さんの下降技術には脱帽です。その発想といい実践といい,私には真似できそうにありません。しかし,中間川は想像以上の沢でしたね。これは下から遡行する価値あるかもですね。

興味深い記録,ありがとうございました!
インヤン | URL | 2012/08/20/Mon 17:30 [EDIT]
お褒め??のお言葉、有難うございます。
下から上がるのは、さらに難しくて巻き巻きで終わってしまうかもです。

まだまだ未開の沢の開拓に邁進しますね。
屋久島遡行人 | URL | 2012/08/20/Mon 20:47 [EDIT]
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| | 2012/08/22/Wed 17:04 [EDIT]
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| | 2012/08/22/Wed 20:31 [EDIT]
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| | 2012/08/23/Thu 15:58 [EDIT]

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