スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
鯛之川中部・屋久島沢登り記録
IMGP1152.jpg
 ↑鯛之川を象徴する一枚。レンズに付いた水滴は、巨岩との悪戦苦闘で流れ出た汗と涙。。。
 
 北海道から大学時代の山のクラブの後輩、哲平が沢登りをしに屋久島にやって来てくれた。一緒に、前回の続きで鯛之川中部に行ってきた。

 9月21日、晴のち曇。
 近日中に予定している宮之浦川の訓練として、8個のカム、50mザイル、テントなどなど共同装備を一人でほぼ全て持つことにした。結果、僕の110Lザックは出発前の時点で20.5kgの重さになった。
1_20130104102404.jpg2_20130104102406.jpg
 8時、千尋の滝展望台発。通行止めの遊歩道を使って、15分で千尋の滝壺に着。
 8:40、千尋の滝登攀開始。先々週の下見通り、左岸を一条に伸びるブッシュ帯を登る。斜度60~80度位あるが、枝を掴んで登ればそんなに怖くない。途中数か所ピンクテープもあった。
3_20130104102408.jpg4_20130104102411.jpg
 巻きの途中から見た滝。
 適当な所で、滝の落ち口に向けてクライムダウンする。9:10、滝の落ち口着。あまり先まで巻きすぎると、川床に戻るのにスラブの急斜面でのアップザイレンが必要になるので、要注意。巻きのルートファインディングはやや難し目と言ったレベルで、ザイルは結局使わずに済んだ。
 鯛之川最大の核心を難なく越えて、ホッと一安心。(3枚目は巻きの途中から、4枚目は滝の落ち口。)
5_20130104102413.jpg6_20130104102528.jpg
 すぐ上流にある、小千尋の滝はまさに千尋の滝のミニチュア版の趣だが、これは容易に右岸を小さく巻ける。2枚目は落ち口から。
7_20130104102532.jpg8_20130104102535.jpg
 さらに少し行くと、10:30、通称羽衣の滝。落差15m。滝壺の岩はツルツルに磨かれており、取り付くのは困難。そこでまず左岸の水流際を登っていく。
9_20130104102537.jpg
左岸真ん中やや下に鎮座する巨岩は下をくぐり抜け・・・
10_20130104102539.jpg11_20130104103105.jpg
 その次に出てくる水流も下をくぐり抜ける。その後は一段上の岩盤に這い上がり、滝の上半分は中央の乾いた岩盤の上を行く。
12_20130104104228.jpg13_20130104104231.jpg
 その先は、泳ぎあり、激流の渡渉あり・・・
14_20130104104233.jpg15_20130104104235.jpg
 岩の隙間の登攀あり。「ファイトー、一発!」
16_20130104104237.jpg17_20130104104352.jpg
 とにかく延々と続く、岩、岩、岩。
18_20130104104354.jpg19_20130104104357.jpg
 川幅が広いのでゴルジュとしての圧迫感はないが、転がっている一つ一つの岩が実に大きい。屋久島の沢はどこでも巨岩だらけなのだが、ここの巨岩は、家の大きさ位で最も登りにくいサイズ。地震で倒壊した家屋が密集していると言えば、雰囲気が伝わるだろうか?自分の身長が2.5m位あったら楽に登れるのにと思う。しかも、この岩たちがどこまで行っても小さくならない。
 さらに悲しいことに僕のザックが、中身にまでたっぷり水を含んで今や25kgは優に超えていそう。普通の登山道ならまだしも、この重さを担いで岩登りするのは厳しい。おまけに、後続していた哲平が、何気ないチムニー登りで滑落したらしい。約2m落ちて岩の隙間に挟まって止まったのだが、どうやら肋骨が折れたようだ。以後ショルダーで哲平の踏み台になったり、荷物を下して空身で何とか登ってから吊り上げたり。そんな風に一生懸命頑張ってるのに、地図上の距離はちっとも稼げないまま、時間だけが確実に過ぎていく。今日中に予定テン場に辿り着けるか、かなり心配になってくる。
 14:40、620mで枝沢を分けたあたりから、ようやく巨岩のサイズが少し小さくなって、幾分歩きやすくなってきた。
20_20130104104402.jpg21_20130104104432.jpg
 16:40、770mの滝、左岸巻き。
22_20130104185840.jpg
 17:30、840mの滝、右岸巻き。
23_20130104185843.jpg24_20130104185844.jpg
 巻き終えて滝の落ち口に出たつもりが、まだまだ上部にはナメ滝が続いていた。ここは足を滑らせたら、絶対大怪我もしくはあの世行き。慎重に登る。でも快適。
25_20130104185840.jpg
 18:20、日没寸前にようやく、予定テン場の944m分岐着。テントサイトを探し始めると、すぐに、分岐から30m程上流に行った本流右岸に巨岩発見。上部が6畳間程のほぼ平らな面を持ち、水面から3m程の高さもあり、テン場として理想的。あと20分到着が遅かったらこの岩も見つけられず、ビバークだったろう。強運に感謝。そして、今日の行程は、単独行では、技術的、精神的に結構厳しかっただろう。共に登ってくれた哲平に感謝。
 焚き木を探す気力もなく、ガスでフリーズドライの食事を作って、食べる。20:40就寝。

 9月22日。雨。
 5:40起床。6:50出発。はっきり言ってかなり寒い。
 昨夜半からの雨で多少増水気味だが、上流なのでビビる程の水量はない。昨日の内にここまで上がって来ていて良かった。
 昨日までの巨岩はほとんど姿を消し、寒さは不快だが、ペースは快適に飛ばせる。
26_20130104185841.jpg27_20130104185941.jpg
 上部に行くにしたがい荒川上部とそっくりの日本庭園風景色が広がったり、ナメ滝が出てきたり、変化に富んだ美しい景色が次々と現れてくる。
28_20130104185939.jpg29_20130104185941.jpg
 これで晴れていたら、どんなに素敵な所だろうか。
30_20130104185940.jpg31_20130104185943.jpg
 8:15、1084m地点、尾之間歩道(鯛之川渡し)に出合う(2枚目)。ここは一般登山道ではあるが、増水したらとても渡れない。
33_20130104190554.jpg34.jpg
 ナメに淵。
35.jpg
 その後も美しい景色が続き、快調に歩を進める。
36.jpg37.jpg
 9:35、1180mの二俣着。2:1で水量を分けて、本流はジンネム高盤岳に突き上げる左俣。しかし、こちらは太田五雄さんの記録では、最後に地上高数mの所を猿のように枝を伝っていく地獄の藪漕ぎが待っているとのことだったので、パス。右俣を選んだ。いきなり出てくる1枚目の難しそうな滝も、ルートを選べば御覧のように直登出来る。
38.jpg39.jpg
 その後も、登り応えのある小滝や見応えのあるナメ滝が次々と現れる。
40.jpg41.jpg
 結果として、この右俣は大当たりの秀渓だった。
42.jpg
 藪漕ぎもまったくないまま、11:20、林道に当たる。まだ水量は結構残っており、源頭とは言い難かったが、今日はこれにて終了。10分程の林道歩きで淀川登山口に出た。


 鯛之川中部の難易度は4級。黒味川といやらしさの性質がやや違うが(黒味は終盤の巨岩+倒木、鯛之川は中盤の大巨岩)、スタミナ・技術面ともに全体を通してほぼ同じレベルの大変さ。上部まで水量が多いままで、過去に増水時の渡渉で死亡事故も起こっているので、天候判断には十分注意されたい。ショルダーやザックの手渡し持ち上げを多用すると楽に登れる所が多く、単独で行く場合は苦労するだろう。ザイル(今回は使わず)以外の登攀具は不要だが、パートナーやザックを吊り上げる用にアブミかお助け紐があると便利かも(今回は持っていたが、使わなくても何とかなった)。
 前半(中流域)のゴーロ帯の消耗度合の激しさは、宮之浦川や小楊子川を超えて、屋久島内でも安房川中流域(中島権現岳周辺部)と双壁を成す。ここを突破するには、下半身のみならず、懸垂を連続20回出来る位の上半身の筋持久力が必須。マゾっ気のある沢屋なら、夏合宿として、海から源頭までを二日半で一気に詰め上がるのも良いと思うゾ。
 そして、ひたすらしんどい中流域とは対照的に、上流部は本当に美しい。なので、お手軽に美渓だけを味わいたいなら、淀川登山口から尾之間歩道を歩いて、鯛之川渡しから入渓し、僕らが遡行した右俣に入り、淀川登山口に戻るのも良いだろう。この場合、半日強で難易度2級。初級者には一部ザイル確保必要。                                                  
                                                   

Comment

管理人にのみ表示する

鯛之川遡行,おめでとうございます。
これでまた一つ大物が片付きましたね。しかし25kg担いであのゴーロ帯を行くとは・・・さすがです。

>中流域の巨岩帯
あそこは本当に前に進みませんよね。2~3時間遡行しても,図上では人差し指の長さほども進んでいない・・・。ひたすら忍耐の区間でした。ここの翌年に安房川を遡行していて,ここのことを回想していました。

また上流のたおやかな流れも,下部を海から遡行してくると,一層際立つものですよね。造りとしては瀬切に近いのかな。美しい右俣を選んだのは遡行人ならではの慧眼だと思います。集中して沢を登り込んでくると,この辺の予想感度が高まってきますよね。「こっちかな」が,はずれない。

次はいよいよですね。安全第一で,遡行人さんらしさを出した遡行を楽しみにしています!
インヤン | URL | 2012/09/30/Sun 10:26 [EDIT]
早速のコメントありがとうございました。

あの忍耐の区間を体験した数少ない同志から頂く共感の感想は、本当に嬉しいものです。

遡行も大変だったけど、これだけ長文の記事を書きあげるのも大変でしたよ。(苦笑)

残る大物は、宮之浦川上部、瀬切川、小田汲川だけになりました。難しいのばかりですね。どれも単独では厳しそうなので、完遂の時期は同行者が見つかるかどうか次第です。
屋久島遡行人 | URL | 2012/09/30/Sun 11:25 [EDIT]

Track Back
TB*URL

Copyright © 源頭の風景を求めて・・・. all rights reserved.
Design by Pixel映画山脈

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。