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「そよ風」と土壁
冬のそよ風
 引っ越してから約4ヶ月、完成から約1ヶ月が経ち、新居での生活も段々落ち着きつつある。
 暮らし始めて期待以上の効果に驚いているのが、パッシブソーラーシステム「そよ風」と土壁の組み合わせが生み出す快適さだ。
 
 そもそもパッシブソーラーシステムなんて、一般には聞き慣れない言葉だと思うので、少し解説してみる。簡単に言うと、機械を使わず、上手に太陽熱を取り込むシステム。例えば伝統的日本家屋で、軒先を長くとって、夏の高い日差しは遮り、冬の低い日差しだけを室内に取り込むなんて言うのがそれだ。あるいは、家の南側に落葉樹の植栽を作り、夏だけ日差しを遮るなんて方法も挙げられよう。
 これに対して、アクティブソーラーシステムと言うのは、特殊な機械を使って、太陽エネルギーを取り込むもの。今はやりの太陽光発電や、ソーラーヒートポンプなどがこれに当たる。
 屋根の上にのっける太陽熱温水器や、我が家の「そよ風」などは、機械を使ってはいる。が、非常に単純なメカニズムで、太陽の熱エネルギーを他のエネルギー形態に変換することなくそのまま使用しているため、パッシブソーラーシステムに分類されることが多いようだ。

 では、実際の「そよ風」はどんなふうに働いているのか。
軒下
 まず、軒下の隙間(金網部分)から、屋根の直下に作られた空間に空気が入り込む。
屋根
 日中、太陽熱で南側屋根の鉄板(縦に葺いている所)が熱くなり、屋根の下の空気層も暖められる。
メインチャンバー
 暖まった空気が棟(屋根の一番高い所)に上がっていき、北側のメインチャンバーに集められる。
屋根裏
 その空気が、屋根裏に設置してあるファンによって、屋内に取り込まれて・・・
ダクト
 家屋内を天井から床下まで貫通するダクト(太いパイプ)を通して、床下に送り込まれる。
床下
 床下に送りこまれた空気は、まず基礎のコンクリートや床板を暖める。我が家は和室以外全てフローリングなのだが、柔らかい(=空気層の多い)杉板を床材に使っていることも相まって、床暖房とまではいかないが、この時期裸足で歩いても冷たくない程度に床が暖かくなっている。
窓際のスリット
 最後にその暖気は、部屋の隅に開けられたスリットから温風としてかすかに吹き出してくる。これが、厚さ9㎝の土壁に蓄熱され、じんわりと輻射熱を出していくことになる。
 押入れのスリット
 押入れや物置の中にもスリットを開けて、湿気がこもらない様にしている。
そよ風・夏
 以上は、寒い時期の運転方法だが、夏の間は上図の如く、逆に夜間の放射冷却現象を利用して、屋根で冷えた空気を床下に取り込むことで、室内の温度を下げる働きをする。暑い日中、スリットから微冷風がかすかに吹き出ているのは、まるで打ち水をしたような気持ち良さ。(この辺のモード切り替えは、季節と希望温度を設定すれば、自動的にやってくれる。)

 ちなみに、パッシブソーラーシステムと言うと、「OMソーラー」が比較的有名だが、「OMソーラー」と「そよ風」の違いについて知りたい方は、こちらをご覧ください。開発者の友伸平さんのインタビュー記事です。

 こんな難しい理屈は分からないと言う人でも、我が家に来ればその効果は一発で分かる。とにかくびっくりする位快適なのだ。
 まず、夏。
 尾之間のこの土地は、標高180mかつ川沿いと言うことで、元々暑さはさほど厳しくないのだが、室内は屋外よりもさらに2~4度低く、ひんやりしている。島の県道周辺から自宅に戻るとそこは鍾乳洞、と言ったら大げさだが、まるで避暑地に来たかのように感じる。この夏は、日中もクーラーはおろか扇風機すら使わずに一夏過ごせた。
外気温室内温
 そして、秋。
 日中、外気温が20度位の時に、室内は「そよ風」の温風のお陰で23度位。夜中になり外気温が13度に下がっても、蓄熱性能に優れた土壁のお陰で室内は20度を保っている。
 もちろん、「そよ風」と土壁だけでは、北海道のFF式ストーブを使った高気密住宅のように、Tシャツ一枚で過ごせるほどの暖かさは、決して生まれない。(ただし、そのうち薪ストーブが加われば最強と言う気もするが。)しかし、そこまで厳密に室内温度を一定にコントロールすることにこだわらず、ある程度日本の四季の移ろいを感じながら生活する方が、自分の身体にも優しいように思う。

 ただ単に温度と湿度だけでは決められないのが、人間の快・不快の感覚。恐らく、輻射熱や気流や日内変動などの要素も複雑に関係しており、一概に測定・評価は出来ないだろう。そして、如何に快適な居住環境を作り出すかと言う問題に、住む人それぞれアプローチ方法も違えば、解答もいろいろあるはずだ。
 が、この「そよ風」と土壁の組み合わせが、一つの優れた解答であることは間違いない。日々之実感している。
 
 なお、「そよ風」には、室内を暖めるだけでなく、温水も同時に作れる「お湯採り機能」もオプションで用意されている。開発者の方から、これはあまり期待しないで欲しいと言われていながら、試しに我が家は付けてみた。だが、夏の晴天の日位しか熱々のお湯にはならず、専用の太陽熱温水器には敵わない。やっぱり僕もそれほどお勧めしない。
 それから、「そよ風」の効果を最大限発揮したければ、屋根は真南向きかつ、色は熱吸収率の高い黒にすべきである。屋根の素材は、密閉性や熱伝導率の関係で金属系に限られ(我が家はステンレス)、残念ながら茅(かや)はもちろん瓦も使えない。また、冬期間、屋根の上に積雪する地方では当然効果を発揮しない。細かいことだが、日中空気を送り込むファンの音がそれなりにするので、僕みたいに音に神経質な人は、物置の中にうまく配管するとか、防音シートをつけるなど工夫した方が良いと思う。
 

 

Comment

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はじめまして
リタイヤ後は屋久島で熱帯果樹を栽培するかたわら、山歩きを楽しみたいと考えているので、ときどきお邪魔しています。
現在の家の近辺で薪ストーブが原因の火事を1回ならず見ているので、薪ストーブは入れるつもりがありませんが、そよ風はぜひ使いたいと考えています。屋久島あたりでも、そよ風だけでは冬は寒いですか?我が家は氷点下5度以下まで下がる場所で、朝は部屋の中でも2度くらいになるときがありますが、それでもストーブ1つで過ごしています。そよ風だけで、薪ストーブを使わないとすると、部屋の最低気温はどのくらいになるのでしょうか?
うりこ | URL | 2014/08/19/Tue 10:44 [EDIT]
こんにちは。
 はじめまして、こんにちは。ご訪問ありがとうございます。

 屋久島のどこに住むかで冬の気温はだいぶ違います。冬は雪のぱらつく北半分と、冬でもハイビスカスの咲き乱れる南半分では、上着1~2枚ほど気候が違うのです。お勧めはやはり南半分、特に麦生~小島の地域です。

 そよ風だけだと、雨や曇りの日に全く暖房効果が働かないのできついです。ただ、我が家は、ストーブを焚かなくても室内の最低気温が10度を下回ることはないです。寒い地方に暮らし慣れている方なら、ストーブなしでも問題ないレベルでしょう。これは場所柄(尾之間という最も温暖な地、ただし、標高200m近いので海沿いの集落内よりは少し寒い)だけでなく、土壁の蓄熱効果や屋根裏の断熱材の効果もあると思います。

 しかし、薪ストーブは、そよ風の室内循環モードとの相性が極めてよく、また、眺めているだけでも心がポカポカと幸せな気分になるので、強く、強くお勧めします。火事というのは恐らく、煙突の施工が悪く、煙突掃除もきちんとしていなかったことが原因と思われ、対策を十分すれば防ぎうるものと思います。安く上げようといい加減な施工業者にやらせないことと、煤が出ないよう十分に乾燥した薪を使うのがポイントでないでしょうか。詳しくは「春夏秋は冬を待つ季節」を読まれるといいと思います。

 以上、ご参考になれば。
屋久島遡行人 | URL | 2014/08/19/Tue 13:00 [EDIT]
早速のご返信ありがとうございます。
石油ストーブが原因の火事は、ストーブの上に洗濯物を干して、そのまま忘れてしまったとか、目に余る不注意によるものですが、薪ストーブの火事の原因は、多くの場合、煙突掃除をサボったというもので、これは私もやってしまいそうな気がするのです。薪の準備から始まって、火をつけるのだって一発点火ってわけにはいかないですよね。私の場合、面倒になってしまうのが目に見えてします。野菜や果樹を育てたり、草刈りしたりという、手間は惜しまなくても、掃除を含む家のメンテナンスは極力省きたいのです。それに資金もそれほど潤沢ではないので、土壁とか無垢の家とかいうのは無理だと思われます。アルミサッシではなく、樹脂サッシにするというようなお金は使っても、断熱は一番安いグラスウールでたくさんかなと思っています。犬を飼っているので、床はメンテナンスが楽なタイルにし、ついでにバリアーフリーにしてお掃除はルンバに任せたいです。目指すはローメンテナンスで、できるだけローコストな家なんです。
ところで、家の設計は建築士さんに頼まれましたか?それとも工務店の建築士さんの設計ですか?
うりこ | URL | 2014/08/21/Thu 14:53 [EDIT]
煙突掃除なんて、乾燥した薪さえ使っていれば、年に1回、30分で終わります
よ。火付けも1日1回、数分で済みます。薪は、製材所の廃材が安く手に入ります。まあ、別に僕は薪ストーブ伝道者ではないですが。

家の設計はたまたま義母が設計士だったので、任せました。
屋久島遡行人 | URL | 2014/08/21/Thu 14:59 [EDIT]
製材所の廃材って、すでに薪割りも済んでいる状態ですか?
年に1回の掃除で済むんですか?そのあたりは10月から4月までストーブが必要なここいらとは使う回数が違うからですね。
薪集めにしても、掃除にしても、我が家周辺とは条件が違うようです。
そういわれてみれば、大した手間でもないような気もします。
お義母さまが設計士ですか?恵まれていらっしゃいますね。
設計士を選ぶのも素人には難しいですから。
うりこ | URL | 2014/08/22/Fri 04:46 [EDIT]
製材所の端材を軽トラ1杯分(3千円)、ボンとおいていってくれるだけで、ストーブに合うようにカットするのは自分でやります。これでも、自分で木を倒すことから始めるよりは遥かに楽なのですが・・・。いずれにせよ、チェーンソーを扱えることが必須条件になります。
徹底的に手抜きをしたいのであれば、通販で薪を購入する方法もありますが、割高すぎるし、そこまで物ぐさな人には、僕は薪ストーブをお勧めしません。
屋久島遡行人 | URL | 2014/08/22/Fri 11:42 [EDIT]
馬鹿ことを聞いてすみませんでした。
安い廃材が薪割されているわけないですね。そんなことにも気づかず失礼しました。やっぱり薪ストーブは無理ですね。しかし、ものぐさは心外です。私は炎天下に草刈り機を振り回すことをいとわない人間です。今耕している畑もほとんど藪を開墾したもので、今どき開墾かよとあきれられていました。屋久島に行ったら、たぶん開墾に忙しくて、そちらでチェンソーを振り回してくたくたになり、ストーブの手入れまで手が回らないだろうということです。変人であることは認めますが、ものぐさではないですよ。
うりこ | URL | 2014/08/23/Sat 05:48 [EDIT]
 これはどうも失礼しました。うりこさんが物ぐさと決めつけたわけではなく、通販で薪を買って、メンテナンスも全くしようとしない人を物ぐさといっただけですよ。
 田舎暮らしだと、畑、家畜の世話、薪作り、庭の草刈り(屋久島の草の勢いは半端ではありません)、小屋作りなどなどやらなくてはいけないこと(正確にはやりたいこと)がいっぱい有り、それのどこに重点をおくかは人それぞれだと思います。うりこさんの理想のスタイルが、早く屋久島でも確立出来るといいですね。
屋久島遡行人 | URL | 2014/08/23/Sat 09:47 [EDIT]

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