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大崎川・屋久島沢登り記録
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 9月12日、単独で大崎川から破沙岳に登ってきた。
 地形図を見る限り、源頭部の等高線の詰まり具合は尋常ではない。海からの標高差も1259m。過去の遡行記録は一切なし。予定行動時間は12時間を見積もったが、果たして1日で無事に帰ってこられるかどうか。
 ところで、前回カネオリ谷遡行時(8日)、生煮えのまま一晩置いた豚肉を食べたせいか、9,10日と1日10回以上の下痢。点滴をしながら当直仕事をしていた。下痢は大分止まったが、まだ全身に力が入らないのも気になる。
  
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 天気曇時々晴。
 左岸の道路突端に車をデポ。磯釣りの人用の踏み跡をたどって、苦もなく河口に降り立つ。6:15、遡行開始。正面に見えるのは、今日目指す破沙岳ではなく、七五岳。
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 下流部はいろいろと人工構造物が多くて興をそがれる。岩も花崗岩でなく、なんだか滑りやすい。
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 南面の沢にしては、薄暗く、苔蒸した感じ。滝もなく、非常に易しい。
 8:25、標高250m(推定)で、地図にはまだ記載されていないスーパー林道の立派な橋を通過。さらに9:35、標高390m(推定)で、鉄骨の橋の残骸(右写真)を通過。帰り道に確認したところ、ここは林道終点のすぐ先であった。昔は林道が橋で川を越えていたのだろうか。登山道は、ここを渡渉する形になっている。
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 この先、ようやく人工物がなくなる。相変わらず、苔むした穏やかな、悪く言えば単調な渓相。10:25、標高560mの二股着。水量1:1。左又(左写真)と右又(右写真)。せっかくなので破沙岳にダイレクトに詰め上げる左又を進むことに。ここまで、ほぼ予定通りのペースで来ている。
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 標高750m(推定)位で早くも水枯れ。慌てて数分下に下りて、水を水筒いっぱい汲んでくる。しかし、実はこの後まもなくまた水が出る。標高1000m以上まで水は汲めるので慌てなくても良い。
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 早くも倒木のおでまし。まだまだ先は長いというのに。しかし、ふと左を見ると岩壁が。もしかして、破沙岳直下の大スラブか。ということはもうすでに標高1000m以上来たのか?この日も腕時計が家に見当たらず、高度計無しなので、現在地確認が今一つできなかった。が、だとしたら、もう一頑張りで目標のコルである。これなら案外楽勝で行けるかも・・・。(後に判明するが、実際の標高は900m弱だったろう。)
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 で、現れたのがこの滝、20m。
 最後にようやく、登り応えのある滝が出てきてくれたなあ、と喜び勇んで取り付く。途中までは右写真で見ての通り楽勝だった。
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 しかし、最後の数mで行き詰まった。左写真の草付きをつかんで行けそうにも思えるが、落ちる確率1/3。下を見ると(右写真)、高さ15m。落ちればまず助からない。実弾2発入ったロシアンルーレットである。とても、挑戦する気になれない。というか、ここにいること自体、怖くて足が震えてきた。
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 ザックからハーネスを取り出して身に付け、20mサブザイルで2ピッチの懸垂下降。無事に下にたどり着いた(左写真)。総計45分のタイムロス。
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 結局この滝は右岸を巻いた。13:20、滝上からの景色。ほっと一息。
 しかし、大崎川は実はここからが本番なのであった。
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 その後、急に倒木やら薮やらが濃くなって、ガクンとペースが落ちる。
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 例えば、左写真のような場所。左はスタスタ行けそうな花崗岩で、右は猛烈な薮。思わず左側を登りたくなるが、実は右写真のように斜度が45度あるのだ。アクアステルスソールならまだしも、フェルトソールの靴ではとても歯が立たない。泣く泣く、薮に突入する。しかし、この薮がシダの中にサルトリイバラが隠れていたり、濃密な根曲がり笹だったりで、実に悪質。おまけに傾斜がきついから、ちょっと油断するとすぐに下にずり落ちる。密度×性質×斜度の総合評価で、過去最悪の薮であった。
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 この薮の中で野垂れ死んでしまうのかと焦り始めた時、下界から電話が。「グリーンコープの冷凍食品を不在中預かっているが、どこで受け渡しをするか云々」。自分の今置かれている苦境と、下界の空気との、あまりのギャップに苦笑するのみ。
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 いったん薮が途切れたと思いきや、今度はこんなチムニーが。既に腕はパンパンで、握力ほとんどなし。もう引き返すしかないかと思ったが、何とか、空身+ザック吊り上げで突破。
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 ガスが切れて、破沙岳ピークが垣間見えた。え、あんなに遠いの!?もう、絶望じゃん。もしかして、俺コース間違えてるんじゃないの?愕然。
 しかし、木の大きさなどから冷静に距離を目測してみると200m位。コンパスと合わせて判断すると、自分の現在地は標高1100mの沢筋で、予定コースを外れてはいない。ガスのかかり具合、途中の薮の濃さが心理的に影響して遠く見せているだけだ、ここでパニックになってはいけない、と自戒。
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 最後はコンパスを頼りに薮を詰め上がり、15:55、標高1175m、源頭のコル(左写真)にたどり着く。2時間半の薮漕ぎに疲労困憊。昨日までの下痢も、今日はすっかり止まってしまった。
 その後、稜線上の薮漕ぎはさほどきつくなかった。時間節約のために破沙岳はカットして、直接登山道を下ろうと探したが、登山道を見つけられず、結局一度破沙岳を目指すことに。ピークのすぐ下でようやく登山道発見。
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 16:35、ピーク着。ガスっていて、下界も良く見えず。赤とんぼが乱舞していた。
 あとは登山道を下るのみ。ツェルトと雨具、予備食糧はあるので、途中で真っ暗になったらビバークしてもいいと思っているが、問題は水。薮漕ぎの間にガブガブ飲んでしまい、300mlしか残っていない。日没までに水場に辿り着けるだろうか。
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 40分下ったところで、普段なら水場とも呼ばないような水場発見。助かったあ。ポタポタしたたり落ちる水をシェラカップに溜めて、ゴクゴクゴクゴク飲み干す。うまい!!!
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 その後、登山道が川を渡渉してすぐの、林道終点に着いた辺りで日没。林道と言っても荒れ果てて草に埋まりつつあるので、ヘッドランプを点けて歩く。やはり、薄暗くなると、ピンクテープを見つけにくい分、歩くペースが半分位にまで落ちる。
 19:05、スーパー林道に到着(左写真)。ここから先は完全舗装路で、道を失う心配は無い。が、月明かりだけで、完全に真っ暗になっていた。その先数十m西寄りに、平内方面に南下する道路があった(後日昼間に確認)のだが、あまりの暗さで気づかず、そのままスーパー林道を湯泊方面に歩いて行ってしまう。途中、またもやガイドのYさんに携帯でアドバイスを頂いたりしながら、湯泊経由で車デポ地点に辿り着いたのが20:50。
 この日の行動時間、実に14時間40分。今までの登山人生で最も行動した日であった。ヘロヘロ~。

 今回の反省としては、高度計がないために、後半、現在地把握やペース計算が正確にできなかったのが、心理的にプレッシャーとなった。日没を過ぎてしまったのは、ある程度予想していたことであり、仕方がない。逆に、ここまで本格的なヘッドランプ山行は初めてで、負け惜しみのようだが良い経験になったと思う。それから、Yさん、今回も的確なアドバイス、ありがとうございました。実力以上の登山で、いつもご心配おかけして申し訳ありません。


 大崎川は難易度3級。前半はまったく大したことがないが、最後の詰めがとにかく厳しい。ただし、二人以上で行くなら、アクアステルスシューズでザイル確保しながら花崗岩の上を登ることで薮漕ぎが回避できたかもしれない。いずれにせよ、初級者は泣きを見るので絶対行くべきではない。
 今回のように標高1259mのピークを海から沢伝いに行くのならば、林道終点で区切って2回に分けるのが常識的だったと思う。泊まり装備では薮漕ぎがきつくなる。また標高560m二股で右又を行けば、稜線にあがってからの藪漕ぎは長くなるが、源頭部の傾斜が幾分緩やかな分、多少は楽だと思う。ただし、保証はしない。
 総合的に見て、尋常じゃないきつさの割りに、美しい所や楽しい所はほとんどなく、マゾッ気のある人以外はお勧めできない。

Comment

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いや~読んでいても凄い遡行記録でした。滝の途中で懸垂する辺りなんかは,こちらまで緊張感が伝わってきました。

>苦しいヤブ漕ぎ中の電話・・・

私も昔,岩壁の途中のレッジで休んでいる時に,「注文していた書籍が届いたんで,お待ちしていま~す。」という若い子の弾んだ声を聞きながら,「生きて帰ったら取りに行きます。」と心で思ったことがあり,その事を思い出しました。電話の向こうと今いる場所との隔絶感ともいうのでしょうか・・・思わず笑ってしまいますよね。

いずれにしろ,非常にハードな遡行,お疲れ様でした。今回の遡行は,遡行人さんしかできないようなものだと思っています。

また,次回も楽しみにしています。
インヤン | URL | 2013/09/17/Tue 13:41 [EDIT]
いつもいつも、ご愛読有難うございます。
こんなどうでもいい場所で苦闘している長文の記録、全部読んでくれるのインヤンさん位だろうなあと、思ってましたよ(笑)。

それにしても、僕の山行歴の中でも、屈指の厳しさでした。もう二度と行きたくありません。

でも、45歳・男、まだまだ頑張り続けます。
屋久島遡行人 | URL | 2013/09/17/Tue 13:56 [EDIT]

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