スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
ビートルの入院
DSC05372.jpg
 5月9日、長野県安曇野のNさんの工場に、ビー助が入院しました。
 
 1990年、就職した会社のボーナスが出た時点で、総額90万円で買った、1973年式空冷ビートルカブリオレ。
 購入時点ですでに相当傷んでおり、1990年~91年にかけて、東京の工場で最初のレストア。その後、札幌、鴨川、茅野と転々としているうちにまた腐食が進み、再度本格修理の必要が出てきた。富山のワーゲンショップを訪ね、ビートルのレストアなら、安曇野のNさんの腕が良いと紹介された。

 2002年10月、初めてNさんの工場を訪れた時のことは忘れられない。
 何かの部品を加工していたNさんに、僕が
 「あのー、ビートルのレストアをお願いしたいのですが・・・」
と声をかけた。一瞬横を向いて僕を一瞥したが、返事はない。聞こえなかったのかなと思い、もう一度、同じことを言うと、いきなり、
 「レストアって何よ?うちはレストアなんかやらないよ。そもそも、あんたの考えるレストアって何なのか、説明してみて。」
 「えっ・・・(絶句)」
 「ただ、パーツを外して新品に取っ替えて、ハイ出来上がり、それがレストアだと思ってるんじゃないの?そんなのはうちはやらないよ!うちは部品を全部一個一個分解して、削り直すんだ。新品部品なんていって売られているのは、みんな、メキシコや台湾製で、オリジナルの部品よりも粗悪なものがほとんど。それをきちんと中心が出るよう、全部作り直していかなきゃならないの!一個一個の部品の精度を可能な限り出して、組み上げる段階でまた調整して、最終的に新車の状態よりも良い車にする。うちがやってるのは、レストアじゃなくて、『再生』。そこまでやっている工場が一体どれだけあるの?」云々。
 その後、延々数時間にわたり、Nさん節を拝聴させていただくことになった。
 帰り道、「なんかすごい人だったね・・・、修理どうしよう・・・、一体いくらかかるのかなあ?」と遠慮がちに妻に言うと、「うーん、確かに。でも、ビー助の修理を任せるとしたら、逆にあの人しかないんじゃないの」と返され、あー、理解ある妻で良かったあと思ったものだ。

DSC05374_20150515121457421.jpg
 この時は9か月間かけて、素晴らしい車に仕上げてもらった。過去十数年の経験で、ワーゲン専門店の看板を掲げていても、いい加減な仕上がりの店も多いことを痛感していたから、Nさんの腕の良さは本当によく分かった。エンジンの調整から、ボディの修復・塗装まですべてたった一人でこなしてしまった修理の様子は、旧車雑誌「Old-timer」でも紹介された。
 が、その後、長年月屋久島の潮風に晒され、さすがにあちこちまた穴が開いてきた。レストアを移植手術に例えるなら「ドナー」候補の、程度の良い同型車も入庫しているからとのことで、再度Nさんの工場にお願いすることにした。

DSC05367.jpg
 工場内部。10年間、時間が止まっているというか、時間が後退しているかのような空間。もう懐かしさで胸が一杯である。
DSC05370.jpgDSC05371.jpg
 手前の車は、レストア中の、1960年代のロータスヨーロッパ。僕の憧れの車でもある。日産パオも一部そうなのだが、軽量化のためボディは鉄板ではなく、モーターボートのようにFRPでできているため、凹ませると普通の板金修理ができない。だが、これもNさんが一人でFRPで作り直した。その奥には、1950年代のフォードトラック。が、実は、この2台、10年以上前からほとんど変わらず置かれっぱなし。Nさん、まるで仕事をしている気配がない。オーナーさんも一体どういうつもりなのだろう。僕のビー助もこうなってしまったらどうしよう・・・という一抹の不安。
 壁際には、数年前夢中になっていたチェーンソー修理の痕。なんでも、ヤフオクで壊れたチェーンソーを同一機種につき2台ずつ買い集め、1台はオリジナルに戻し、もう1台は独自のチューンアップを施し、どれだけ性能が上がるか比較する実験を繰り返していたらしい。別にそれで商売しようというのでもなく、あくまでも趣味で50台以上やってみたと。
DSC05365.jpgDSC05366.jpg
 雑然とした工場内は、一見ガラクタだらけなのだが・・・。
 左写真、金工用の工作機械。近くの工場で壊れて廃棄処分になったものをただでもらってきて、自分で修理して再度使えるようにしたもの。これでビートルの部品も、ワンオフで作ってくれる。でも、以前よりさらに数が増えて、工場内の足の踏み場がなくなっている。
 右写真は、今回新たに加わっていた、木工用の機械。僕の日曜大工などはるかに超越して、工務店・製材所レベルの機械が揃いつつある。今度は、趣味で家でも建て始めるのか?
DSC05369.jpg
 車の話もそこそこに、これまた自分で改良した、チェーンソーの刃の研ぎ器を嬉々として説明してくれるNさん。工場の周囲には、やはり、自分で修理・改良した、除雪機、フォークリフト、自動薪割り機、薪ストーブ模型などが所狭しと並んでいる。
 工作好きの天才が、安曇野の片隅で自分の好きなことだけやって生きてきた。そんな所に、僕のビートルは入院しました。予定入院期間半年。出来上がりに乞うご期待。


Comment

管理人にのみ表示する

ご無沙汰しています。ビートル帰ってきたら拝見させてください。
僕もビートルに乗り換えようか思案中です。
kenichiro Shichiri | URL | 2015/05/17/Sun 16:33 [EDIT]
こんにちは。
ビートル、いいですよお!
でも、屋久島で日常の足として使っていると、潮風で駄目になるのも早くて、結構金食い虫になるので、その覚悟が必要です。
屋久島遡行人 | URL | 2015/05/17/Sun 21:16 [EDIT]

Track Back
TB*URL

Copyright © 源頭の風景を求めて・・・. all rights reserved.
Design by Pixel映画山脈

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。