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瀬切川・屋久島沢登り記録
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 「待てば海路の日和あり」
 5月末から、瀬切川に行くべく、ずっとスタンバイしていた。
 ところが、屋久島は6月~7月にかけて、記録的な梅雨や台風で毎週延期。先週末、ようやく梅雨も明け、晴マークが二日続いていたので、念願の瀬切川に単独で挑むことにした。

 
 7月31日、快晴。
 車を飛ばして、瀬切大橋着。出発の写真を撮ろうとしたら、なんとカメラがバッテリー切れ!家に取りに戻ることも考えたが、1時間出発が遅れれば、今日中にゴルジュ地帯を抜けられなくなる恐れがある。涙を飲んで、景色は心に焼き付けるだけにする。
 6:00、右岸の林の中を海に向かって下り始める。6:10海に着くや、Uターンして、今度は川の中を登り始める。
 川に入ってすぐ、今日の水量に圧倒される。次の足を置く岩を慎重に見極めても、いざ片足を上げると、そのたびに強い水流で、残った方の足元がふらつく。ここ数日は晴れの日が続いていたので大丈夫と思っていたが、やはり2か月間の梅雨の影響はまだまだたっぷり残っているようだ。下流に流されないよう、細心の注意を払いながらの渡渉が続く。
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 歩いているうちに、携帯のカメラを使えばいいんだと気付いた。でも、紐もケースもないので、ザックの上蓋からいちいち取り出さないとならず、今回は写真が少な目。しかも、初期設定ミスで写真が極小・・・。
 6:55、前半のゴルジュ地帯の開始を告げる滝(左)出現。ぼちぼちと中規模クラスの滝が出現してくるが、ほぼ直登は不能。でも、この辺りまでは楽勝で巻ける。
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 写真は、標高300mから、沢が緩やかに左に屈曲する辺り。
 手前に乗り越えるべき小滝があるのだが、滝壺が、今日の水量で洗濯機状態。ここに入ったら、一気に下流の滝まで流されるなあ・・・。よく見ると、左岸の頭上にバンドがあったので、そこを巻こうと決めた。ただそのバンドに登るのが難しい。足場はなく、右手を伸ばしたところにあるホールド(岩の小さな出っ張り)が唯一の手がかり。隙間に詰まった泥を滑らないよう丁寧にどけて、イザ、ファイト一発!右腕に力を込めて、全体重をかけた瞬間、ホールドが剥がれた!!
 右手に岩の欠片を握ったまま、落ちたのは3m。落ちている瞬間、「やっちまった」とは思ったが、恐怖心はなかった。落ちても滝壺だから、怪我はないだろうと。ただ、あの洗濯機の中から、這い上がれなかったらヤバいなとは考えていた。しかし、着水してみると幸い、水の下に岩があり、足が立った。水に揉まれて多少は苦労したが、何とか小滝にずり上がり、ほっと胸をなで下ろす。もちろん、今日みたいに増水していなければ、普通に滝壺に入水してから楽勝で越えていた所と思う。
 で、写真の連瀑帯は、左岸を巻くのだが、ここは小さく器用に巻こうなどとスケベ心は起こさず、標高350m位まではしっかりと登ってからトラバースに入らないと巻ききれない。ここ、瀬切に行こうとしている人には、大事なポイント。
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 9:25、瀬切最大の核心、瀬切の滝に到着。いやはやド迫力。水煙浴びまくり。鯛之川の千尋の滝には及ばないが、それに近い威圧感である。先人の写真で想像していた以上に凄いのは、やはり、今日の水量のせいもありそう。
 この巻きは、瀬切川最大の核心。100mほど戻り、右岸に取り付く。この巻きのポイントは、滝の際をトラバースしようとはせず、コンバスを10度位に切って、やがて上部に見えてくるコルを目指してひたすら直上すること。標高差で90mほどを頑張って登りコルまでたどり着くと、滝の落ち口はほとんどすぐ下に現れ、楽に下れる。
 登りの途中、宮之浦川龍王の滝左岸チムニー(煙突状に続く狭い岩の隙間)によく似た岩場(そっちはまだ登ったことはないが・・・)が出現し、「プレ龍王の滝」のつもりで、突っ込む。ザックごと全身をねじ込み、四肢の突っ張りで登りきる。Ⅳ級-。
 ルートの取り方次第でこのチムニーは登らなくて済むだろうが、どこを進むにしろ、ここの登りはほとんど垂直の壁を、木の根を掴みながらのモンキークライムになること必定。合計所要時間45分。沢慣れしていない人には要ザイル確保。
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 瀬切滝を過ぎれば、しばらくはなだらかな地形。順調に距離を稼ぐ。今日は、乾いた花崗岩が中心になると予想し、ラバーソールの沢靴(キャラバン)で来たのだが、これが大正解。まさに「バチ効き」という感じで、傾斜のきつい岩肌をクリアしていく。フェルトソールでは、まず単独行はできなかったであろう。
 11:40、右写真の滝で後半のゴルジュ帯が始まる。この滝は、左岸から右岸に向けて、滝壺に飛び込んで泳ぎ渡り、右岸を楽に巻く。
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 左写真、太田さんの記録でF26、7mの滝。右岸を巻きながら、滝の下を覗くと(右写真)、虹がかかっていた。
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 さらにその先にも10mの滝。つなげて一気に巻いてしまう。ここで巻いている途中、沢に復帰しようとクライムダウンしていたら、掴んでいた細い木が根こそぎ剥がれて、20cmずり落ちた。木が折れるのは予想していて、落下地点も確認済みだったのでビビらなかったのだが、落ちた先の苔が泥に乗っかっていたので、ズルッといってしまい転倒。危うく、崖下まで4m落ちるところだった。今日二回目のヒヤリ体験。沢は怖い。まだまだ自分は未熟だ。
 結局、この巻きは、瀬切滝と同じ位大変で、時間もかかった。
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 少しは緩やかになったかと思いきや、右写真、右岸ハング壁の滝。これも右岸巻き。
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 15:25、いよいよ、奥に標高770mの国割谷出合の滝が見えてきた。左写真、下部二段の滝を越えたところに、左から国割谷が流れ込む。水量比1:5位で、本流が圧倒的に多い。
 出合の滝は右写真のごとく、蛇の口滝にそっくり。右岸を巻いていく。前半は楽勝。滝の上部は多少傾斜が緩やかになるので、直上しようとしてみた。が、滑り落ちた時のことを考えると、お助け紐もなしで岩盤に降り立つのが怖く、最後の一歩がどうしても踏み出せない。すごすごと藪の中に戻り、巻きを再開したが、この最後の登りがシダの藪々で一番きつかった。単独行のつらいところである。
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 滝の落ち口から振り返って。
 これで、嫌な巻きはもう終わったかと思ったが、上に、小千尋の滝のようなものがついていた。この滝を右岸巻きで越えて、16:30、ついに、後半のゴルジュを抜けた。
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 ここから先は平瀬と呼ばれ、渓相が、その名の通りのものに一変する。一日中アドレナリンが出続けてボロボロの心身が、日本庭園風の風景に癒される。
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 所々、杉の巨木も。さすが、世界遺産地帯。
 標高838m二又に、遠目でもはっきりとわかるテン場適地を発見。本当はもう少し先まで進みたかったが、あまりの魅惑的砂地ぶりに、17:20、ここで投了とする。過去の先人もここでテントを張ったのであろう。ピンクテープが3本もあった。
 瀬切川の核心部を1日で抜けきった安堵感に包まれながら、20時就寝。

 
 8月1日、晴。
 5時起床。5:50出発。
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 昨日の最後に引き続き、沢はなだらか。青森の奥入瀬川のような感じか。でも、岩がゴロゴロしていて、なんだか歩きにくい。しかも同じような景色が1時間以上続き、やや冗長に感じ始めたといったら、贅沢すぎるというものだろう。
 標高1000m位にある2段12mの滝は秀麗。恐らく最後の大滝だから写真を撮りたかったが、もう、ザックを下してカメラを取り出す気力がない。残念。この滝を過ぎた頃から、沢中に倒木が目立ち始めるが、屋久島の感覚からすると大したことはない。間もなく標高1030mの二又。水量1:1。どちらも行けそうだが左股を選択。
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 標高1320mで水枯れ(左写真)。水を2L汲んで、いよいよ詰めの急登、と褌を締め直す。
 が、最後は実にあっけなく、藪漕ぎもなしに永田歩道1340m地点に踊り出た。ただし、永田歩道は例によって荒れているというか自然そのままなので、ピンクテープがなければ気付かずに通り過ぎていただろう。9:40。
 そのまま登山道を数分登り、左巻き大檜に到着(右写真)。そこからさらに数十m先の赤い細引きのあるところ、これが実は地図には載っていない、作業道の入口。一般登山者立ち入り禁止なのかもしれないが、永田歩道や尾之間歩道と比べるとはるかに整備され、標識もしっかりしていて迷いにくい。途中で犬に吠えられ、姿は見えなかったが、野犬かと怖かった。11:10、大川林道支線の終点1060m地点に到着。京大霊長研の車がとまっていた。
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 そこからは、炎天下、地獄の林道歩き。写真は舗装されているが、99%はダート。あまりの暑熱ぶりに、熱中症になりそう。思わず途中で自宅に携帯電話をかけて、車で迎えに来てもらうことにする。14:10、花山歩道入口着。さらに1kmほど歩いて、14:30、妻の迎えの車に回収され、長い旅は終わった。


 瀬切川は難易度4級上。黒味川よりはちょっと難しく、5月に行ったコスギダ沢と同程度。太田さんは上級としているが、他の屋久島三大険谷(小楊子川、宮之浦川)と同じ5級とするには、行程の長さもスラブの高さも足りない気がする。ザイルは今回懸垂下降も含め一度も使わなかったが、これは、単独行で、逃げ腰モードでいたから。複数人で行っていたら、いくつかの滝はザイルを出して攻めていたと思う。しかし、屋久島に来る前に、沢仲間の松ちゃんに「瀬切川は大滝以外は直登できるはずだから、頑張って挑戦してください」と言われていたのは、今回行ってみて、「冗談でしょう、それは」としか思えなかった。
 渓相は、前半の迫力あるゴルジュ内連瀑帯と、後半の平流部との対比が実に印象的。屋久島を代表する名渓と言って、間違いないと思う。核心はやはり、数か所の巻きのルートファインディング。靴はラバーソール系を強く推奨。


 さて、これで、当面の目標、屋久島内主要河川完全遡行に王手をかけた。残すは宮之浦川上部のみ。乞うご期待。



Comment

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おめでとうございます
とうとうやりましたね。おめでとうございます。遡行人さんなら単独でも十分いけると思っていました。

しかし天気いいですね。瀬切大滝といい,国割谷先の滝といい,青空に見事に映えていますね。素晴らしい景観です。

宮之浦川も楽しみにしています。!
インヤン | URL | 2015/08/03/Mon 06:14 [EDIT]
ありがとうございます。
最高の天気でした。空の青、水の白、森の緑、岩の灰色、コントラストがすごかったです。
次回は絶対にちゃんとしたカメラで行きたいです。お楽しみに!
屋久島遡行人 | URL | 2015/08/03/Mon 12:46 [EDIT]
待ってました♪
水量多いですねぇ〜。瀬切滝は青空に映えて大迫力!
海〜平瀬まで余裕の1Day、凄いです。
とうとうラスボスを残すのみですか。ワタシも漏斗の滝は見てみたいものです。
Pooh | URL | 2015/08/03/Mon 21:15 [EDIT]
おお!
たった今、Poohさんの瀬切の記録をネット上で読んでいた所でしたよ!
やっぱり、仲間と行くと、精神的余裕があって楽しそうだなあと、少しうらやましく思いながら写真を見てました。

今回は、水量、多かったですよ~。
屈曲の先の滝が見える前から、水煙でわかりましたもん。

最強ボスキャラが残ってしまいました・・・
屋久島遡行人 | URL | 2015/08/03/Mon 21:42 [EDIT]
やった!
これはもとより単独の計画だったのでしょうか?
難易度云々はさておき、瀬切の単独とは素晴らしい。
また、水量の多いこと!大滝爆発といった様相です。
とまれ、瀬切を無事手中にされておめでとうございました。
まっちゃん | URL | 2015/08/05/Wed 08:39 [EDIT]
どうもです。
この間、白川郷に行ったときに、まっちゃんの家に寄ろうかと思ったけど、連絡先がわからなくて、行けませんでした。
沢仲間は、この時期ガイドの仕事が忙しくて、どうしても単独になってしまうんだよねえ。出発前からかなりびびっていて、胃が痛かったです。
水量が多かったせいもあるだろうけど、滝は直登どころか、淵の中に入るのさえためらわれるような場所が多くて、巻きで逃げてばかりでしたよ。
次に行くことがあれば、もう少し中を攻めてみたい気もします。
屋久島遡行人 | URL | 2015/08/05/Wed 12:36 [EDIT]

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