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宮之浦川上部その3・屋久島沢登り記録
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 宮之浦川遡行最終日、5月1日の記録。

 朝5時15分、寝坊しないようセットしたスマホのアラームで起床。昨夜も中途覚醒があったが、快適なテン場のお陰で、体の疲れはしっかり取れた。
 空は高曇り。予報では曇りのち雨。何とか、稜線に出るまでは、持ってくれ。
 昨日の雨でぐっちょり濡れた服にそでを通す瞬間が、沢登りで最も嫌だ。7時発。
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 出だしは、屋久島ならではの巨岩ゴーロ帯。
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 右岸にかかる滝を過ぎると、かなり大きな雪渓が残っていた。
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 そして、左写真の滝が、上部ゴルジュ地帯の入口。見た瞬間、「あっ!参りました。巻きます。」と思わせる滝で、わかりやすい。少し戻ったところから、右岸を巻き始める。ここの巻きは、今回の山行の巻きの中では最も藪が濃かった。時々、イバラが体やザックに引っかかって進めなくなる。それを外しているうちに先行者と10mも離れてしまうと、姿を見失い、木の枝が揺れているところを捜しながら追いかけていくことになる。しかし、屋久島の藪としては標準的なレベルで、ザックを下ろしたり、匍匐前進したりするほどの地獄では全くない。
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 途中で、ネマチのピークが望める(左写真)。ゴルジュ内部の滝(右写真)。あそこの先まで一気に巻こう。
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 支流(左写真)を横切り、少し先で緩やかに降りていき、9時5分、本流に戻る。巻きの所要時間、1時間半弱。順調、順調。
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 ここから先の沢は、一気にたおやかな源流の趣となる。
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 今までの険悪な渓相が嘘のような、快適なナメ。歩いていて、楽しくて仕方がない。疲れは全く感じない。
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 稜線も間近に見えてきた。9時35分、標高1520m二又着(右写真)。右に行けば永田岳直下のコル、左に行けば焼野に出る。主流である左を選択。
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 水量が一気に減って、フィナーレの近いことを知る。
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 昨日あれだけ辛い思いに耐えて登ってきたご褒美なのだろうか。いつもの屋久島の沢登りでは、源頭に近づくと、猛烈な藪漕ぎに疲れ切って、早く登山道(やピーク)に着いてくれー、と願うものだが・・・。今回は、この美しい流れの中をいつまでも歩いていたいと思っていた。
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 花崗岩のナメがどこまでも続き、うきうきとハイキング気分で歩ける。周りの草木も、ブッシュではなく草原のようで、上越の沢の源頭を思わせる。
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 一歩一歩源頭に近づいていく。もうすぐ終わりということが、嬉しくもあり、悲しくもある。
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 左写真、最後の二俣。焼野の右に出るか、左に出るか。少しでも水流のある右を選択。そして、最後は右写真、膝丈のかわいい笹薮の中を詰める。前回訪れた安房川北沢右俣の源頭と数百メートルも離れていないのに、この笹の高さの違いは一体どうした訳だろう?別の国のように歩きやすい。
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 11:25、ごく軽い藪漕ぎ、わずか2分で、焼野三叉路西方150m地点の登山道に出た。今回も本当に信頼できたザイルパートナー、インヤンさんと固い握手を交わす。
 これで、屋久島移住以来の念願だった、宮之浦川完全遡行が終わった。あれだけ苦労した、昨日の竜王の滝右岸チムニーの登りが、遠い過去の出来事に思える。逆に、今日の最後の詰めが非常に楽だった印象はまだリアルに残っているせいか、終わってみれば案外あっけない感じだった。
 そして、僕自身、日本百名山登頂の次の目標としていた、屋久島主要河川の完全遡行もこれで完了した。十数年前に思いついた時は、まさか自分が本当にやれるとは思っていなかったが、あきらめずにコツコツ続けていれば、いつかはできるものなんだなあ。それも50歳という年齢で・・・。
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 12時、宮之浦岳登頂。ピークの祠に、2010年、宮之浦川下部を河口から遡行した時に汲んできた海水をお供えして、遡行の無事達成を感謝する。宮之浦岳から発し、宮之浦川を下り、宮之浦港まで流れていった水。それが、また、8年の歳月を経て僕とともに宮之浦川を遡り、宮之浦岳山頂に帰ってきた。山の神様は、どんな思いでこの海水を受け取ってくれただろうか。
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 下山を開始した頃から急に風雨が強まり、今回の遡行中は何とか天気が持ってくれたことに、我々の幸運を感じずにはいられない。淀川登山道を下りて、16時半登山口着。
 妻が、暖かいお茶を持って、車で迎えに来てくれた。感謝。


 宮之浦川上部は難易度5級上。文句なしに屋久島最難関。同じ5級とされる小楊子川本流・左俣よりは、明らかに難易度が高い。後者は5級下だろう。最大の核心は何といっても、竜王の滝越え。今回右岸を行ってみて、やはり、過去の記録から読み取れる左岸よりは、明らかに登り易く、また沢にも復帰し易いと思った。それでも、よほどのフリークライマーでない限り、アブミやキャメロットを用いた人工登攀のマルチピッチになるのは必至。そもそも、右岸チムニーの場所を見つけるのも、事前情報を仕入れていかないと難しいかもしれない。僕は今回十分な予習をしていなかったので、ここだけはインヤンさんのお尻に付いていくだけだった。
 その他の核心は、やはり、F10の巻き、漏斗の滝の巻き、上部ゴルジュの巻きとなる。どこも藪漕ぎは大したことがないが、上過ぎず、下過ぎずの安全なラインを見つけるルートファインディング能力が要求される。沢の中を歩いている時間は半分くらいで、増水していない限り、沢の中は、少なくとも宮之浦川に挑戦しようというレベルの沢屋にとっては、ほぼ何も問題ない。
 もう一度まとめます。宮之浦川上部は、高巻きしている時間が全遡行時間の半分を占め、これこそが核心。高巻くのは4か所。下流から順に、F10、竜王の滝、漏斗の滝、上部ゴルジュ。今回の我々の所要時間は、1時間15分、5時間、1時間50分、1時間25分だった。しかし、竜王の滝の5時間は、荷揚げのやり方を工夫しさえすれば3時間半から4時間に短縮できるはず。
 後日、巻きのルート図をアップします。
 そして、何よりも一番大事なことは天候判断。過去数日の間に大雨が降っておらず、入渓日から最低2日間は雨マークがない時以外は、絶対に突っ込んではいけない。あのゴルジュの中で増水の憂き目にあったら、逃げ場もなく、確実に死んでしまう。
 装備に関して。まず靴は、例によって、アクアステルスのキャニオニア3が圧倒的に有利。巨岩をペタペタ歩いて乗っ越せる。ザイルは50m1本と荷揚げ用のサブザイル30m1本持参したが、今回の我々のルートなら、それぞれ40m、20mでも十分だった。ただし、ルートファインディングに失敗すると長距離の懸垂下降を強いられるのでやはり50m一本位はあった方が安心。登攀具はハーケン4枚、キャメロット4個(1、0.5、0.3、0.2)を持って行った。ハーケンは2~3枚でもよかったが、キャメロットは右岸チムニー1ピッチ目用に0.3~2まで6個1セット持って行けば良かったと思う。
 宮之浦川に挑戦しようと思う人は、屋久島の巨岩と高巻きに慣れるべく、まずは安房川北沢右俣または黒味川に行き、その後で瀬切川(さらに余裕があれば小楊子川本流・左俣も)を行っておけば良いと思う。屋久島の沢初体験でいきなり宮之浦川に挑むのは、あの角幡さんレベルでないと無謀だろう。
 竜王の滝と漏斗の滝という二大名瀑を擁し、マゾッ気を要求される中盤の高巻き地獄と、黒部の奥の廊下もかくやと思わせる源流部の好対照。屋久島を、いや日本を代表する茗渓であることは間違いない。沢屋なら、実力を十分につけて、いつか必ず訪れて欲しい。
 最後になりましたが、3日間お付き合い頂き、核心部ではリードもしてくれたインヤンさん、本当に有難うございました。僕もいつか再訪することがあれば、右岸チムニーをリードで登りたい。



Comment

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屋久島主要河川の完全遡行,おめでとうございます!ついにやりましたね!!15年前は不完全遡行だったので,私もお供ができ私も嬉しかったです。

今思い返しても3日間は色々と運に恵まれたな~と感じています。あの行程を雨に降られるのとそうでないのとでは大違いに感じるでしょうから。1日目,2日目は急坂の登り,3日目は坂を下るような感覚で心地よく遡行できたました。

今回の宮之浦川遡行は,遡行人さんのお陰で生涯の一本とすることができました。色々とお世話になり,ありがとうございました。

ご自宅にある青線の引かれた地図を眺めながら,私ももっと頻繁にに屋久島の沢に足を運びたいと火が付きました。天候次第ですが,週末の休みを利用し今度は,ビワンクボ遡行・カネオリ下降を5月中に計画しています。
インヤン | URL | 2018/05/14/Mon 07:14 [EDIT]
ありがとうございます。
今思うと、計画完遂できたのは、水量と天気に恵まれたのが一番大きかったですね。

それにしても今後の予定、マジっすか?
インヤンさんが本気になれば、私の遡行記録など今年中に塗り替えられてしまいそう・・・。そうならないよう、私も引き続き「落穂拾い」頑張っていきます。
屋久島遡行人 | URL | 2018/05/14/Mon 13:31 [EDIT]
こんばんわ
私もちょうど5月1日に焼野三又路を歩いていました。30日に朝から雨の中、永田から鹿の沢小屋へ登り、夕方まで雨。5月1日は昼から雨で白谷小屋まで向かいました。雨に打たれる疲労感だけでも大変でしたが、屋久島最上級の谷を完登し海水を御供えする岳参り。山岳信仰ですが宮之浦川の写真が竜神の様にも感じられました。
ヤック | URL | 2018/05/15/Tue 20:00 [EDIT]
ヤック様、コメントありがとうございます。
もしかしたら、焼野~山頂の間ですれ違っていたかもですね。
今度稜線で、朱色のモンベルのヘルメットを黒いザックに付けて歩いている人間を見かけたら、声かけてください。
屋久島遡行人 | URL | 2018/05/15/Tue 20:18 [EDIT]
ありがとうございます。
普通に沢屋と御見受けしただけでも喰い付くとこですが、屋久島遡行人様と解れば喰い付いて離さなくなりそうです。
ちなみに御宿は小瀬田のとまり木でした。
近くに木イチゴが沢山実っていて屋久島の自然を味わせて頂きました。
尾の間温泉も格別。
モッチョム岳の辺りの急峻な雰囲気が好きです。
ヤック | URL | 2018/05/15/Tue 21:12 [EDIT]
Congratulations!!
おめでとうございます♪とうとうやりましたね!
全編記録があがるのを待って一挙に読み終えました。
どこか威圧的で独特な造形が魅力の漏斗の滝は観たいのですが予想より小振りな滝でしたね。難易度5級上ですかぁ(溜息)。4級でお腹いっぱいかなぁ~。先ずは安房川北沢右俣からかな。
pooh | URL | 2018/05/15/Tue 23:59 [EDIT]
Poohさん、コメントありがとうございます。
Poohさんは、瀬切川、行かれてましたよね?
それ以外の屋久島の沢のキャリアから言っても、ゴルジュ内部を二日以内に突破できるようにスピードアップさえすれば、宮之浦川行けると思いますよ!
屋久島遡行人 | URL | 2018/05/16/Wed 08:54 [EDIT]
祝、主要河川完遡
今回はそのような大事なタイミングだったのですね。
竜王の滝の困難な高捲きからの遡行、登頂と岳詣りの舞台、機会としては最上かもしれませんね。
是非時間を割いて、地域別水系別のページ作成願います。
まっちゃん | URL | 2018/05/18/Fri 05:47 [EDIT]
はじめまして、kidoと申します。
遡行成功おめでとうございます。
自分はこのブログを見て屋久島の沢に興味を持って何度か訪れ、宮之浦川にも2年前に行きました。竜王の滝も漏斗の滝もF19もすべて懐かしく思って読ませていただきました。
ナッツを残置したのが心苦しかったのですが、現役の後輩から回収していただいたと伺いました。大変ありがとうございました。
kido | URL | 2018/05/19/Sat 03:41 [EDIT]
まっちゃん、こんにちは。
いったん、屋久島の沢、僕なりの総まとめを書こうかと思っているのですが、地域別水系別とか学術的な考察は無理ですねえ。
ツライとかキレイとかムズイとか、非常に主観的な思い出しか残ってません。
まっちゃんのような文学的表現もできないし・・・
屋久島遡行人 | URL | 2018/05/19/Sat 19:28 [EDIT]
Kidoさん、こんにちは。
京大WV部の方ですね。宮之浦川の記録、特に右岸チムニーのルート図は非常に参考にさせて頂きました。有難うございます。
赤いナッツ、持ち主の元にお返ししますので、メールでご住所などご連絡ください。宮之浦川遡行記念の思い出として、良き一品になるでしょう。
屋久島遡行人 | URL | 2018/05/19/Sat 19:35 [EDIT]

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