
10月12日から13日にかけて、黒味川上部の七五谷を下ってモチヤマ谷を登ってきた。約5か月ぶりの本格的な沢。単独。
今日は12日の七五谷下降の記録。天気晴。
予定コースタイムは、入渓までの登山道歩きが5時間、沢の下降が5時間。

朝1時間ほど寝坊してしまった。大慌てで湯泊の林道ゲートに着いて、いざ歩き始める。と、ゲートに鍵がかかっていないのを発見。これはラッキーと思い、車に戻り、ゲートを開けてさらに進む。が、1,2分進むと、落石で道が通れなくなっていた。泣く泣くゲートに戻り、再度歩き始める。8時10分発。


湯泊歩道を歩くのは、以前、職場の同僚(ダブルNさん)と烏帽子岳・七五岳に登った時以来、13年ぶり。その時は、ゲートから登山道入り口までの林道は極めて整備されていて、こんな道を歩かせるならゲートを開放して上まで車で行かせてくれよ、と思った記憶があるのだが。今回の林道歩きは全く違った。途中15カ所ほど、数m~30mほどの長さにわたって、土砂が崩落していて道が失われているのだ。崩落した土砂の上に既に藪の林ができてしまい、ピンクテープもついてないから、ルートが分かりにくいことこの上ない。思わずスマホを取り出してGPSを見てしまった。2か所、川の渡渉を要するところなどもあり、明日の帰り、日没後にここを通過するのは危険だなあ。

道が荒れているだけでなく、今日は10月とは思えないほど暑く風もないこともあり、全くペースが出ない。登山道入り口に着いたのは10時50分。地図の予定コースタイムを40分もオーバー。今日中に予定テン場の本流出合まで行けるのか微妙な時間になってしまった。焦り始める。ところで昨日、毎週金曜日の日課である21㎞ランニングをしていたら、疲れでもっと遅くなっていただろう。止めておいて良かった。
登山道に入ると、いよいよ急登が始まる。倒木で道が分かりにくくなっているところが数カ所あるが、慎重に次のピンクテープを探せば何とかなる。こんな荒れたコースを歩く人はいないだろうなあと思っていたら、上から単独行の人が降りてきてビックリ。栗生歩道から入って昨夜はデータロー岩屋に泊まったらしい。自分のことは棚に上げて、物好きな人もいるものだと思う。この頃には全身汗だくで、沢のウエアを脱いで半袖Tシャツ姿になる。登山道入り口で1L以上汲んでいた水も、がぶがぶ飲んでしまい、残り僅か。


13時35分、脱水症状になりかけながら、ミノの小屋跡に到着。烏帽子岳方面への道を右に分けて1,2分進むと、左手に沼地出現。七五谷枝沢の源頭だろう。のどがカラカラだったので、今すぐここから降りることに決定。


ようやく、水の流れが・・・。這いつくばって、ごくごく飲む。渇いた体に滲みわたっていく。実にうまい。


七五谷上部は何というところもない沢。18時までに降りるべく、飛ばしていく。


左写真、七五谷最大の滝、5m。右岸から、ザックを先に落として、慎重にしかし、自らも落ちるように降りる。


屋久島水準からすると岩のサイズは大したことはないが、巨木の倒木がやや多い印象。恐らく、周辺部が以前伐採された影響もあろう。


以下同文。


左、屋久杉(推定)。あまり日が射さない谷なのか、苔生した岩が多い印象。

そして、苔生した岩以上に滑りまくりなのが、この茶色い藻の生えた花崗岩。七五谷はこの岩が多くてとにかく滑りまくる。
しかも、今回いつものキャニオニア3がダメになったので、代わりに買ったモンベルのサワークライマーを履いてきたのだが、これが大失敗。キャニオニア3に比べるとグリップ力は6割程度。後半は学習して、(今までは大丈夫でも、この靴だと次のステップは危ないぞ、慎重に、)と足を挙げるのだが、その途端、大丈夫だと思っていた軸足の方を足払いをかけられたようにやられる。モンベルの開発陣は、沢登り用シューズとして売り出す以上、もっとしっかりした商品を作って欲しい!
結局今日半日で、派手に転ぶこと、30回近く。ここまで転びまくった沢は初めてかもしれない。よく大腿骨頚部骨折に至らなかったものだ。丈夫な体に産んでくれた親に感謝。


日没寸前、黒味川本流出合(左写真、左方向本流、右奥が七五谷)に到着。予定では所要5時間の谷を4時間ちょっとで下ったことで、何とか明るいうちにたどり着けて安堵する。水量は本流3:七五谷1。
17時50分、本流をほんの少し上がった右岸よりに、水平に近い巨岩があったので、ここをテン場とする。
七五谷は、谷自体は難易度2級。しかし、アプローチが長くて大変なので、それも含めると3級と考えて良いと思う。沢の中はほぼ花崗岩なのだが、摩擦係数がゼロに近い赤茶色のものが多いので、(ゴム底ではなく)フェルト底のシューズで行くことを強く推奨する。核心らしいところは特にないので登攀具の類は一切要らない。ザイルも普通はまず使わずにすむだろう。僕の中では、景色の良さよりも転んで痛かった記憶ばかりが残ってしまい、正直もう二度と行きたくない。

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