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千頭川左俣・屋久島沢登り記録
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 8月2日に千頭川(ちがみがわ)左俣に行ってきた。地形図には名前が載っていないが、安房川の右岸に入る支流で、荒川より一本下流側にある沢である。そこそこ大きな沢で、ネット上にも記録が散見されるので、屋久島の沢・落穂拾いシリーズの一環として行ってみることにした。
 天気は晴のち曇、単独。
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 7:40、安房前岳登山口に車をデポして、そこからヤクスギランド線を約1km歩いて下る。7:55、標高550m地点で道路脇の藪に突入。北東に100m進んで、572mポコとの間のコルから、北西方面に伸びる沢形に入る。歩き始めてしばらくは、道路建設の時に伐採したであろう杉の木が大量に転がっていて、乗っ越していくのが大変だが、やがて水が流れ始めると、普通の沢下りになる。
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 途中、大きな炭焼き窯の跡を見つける。昔の人はよくこんな谷底まで下って仕事をしていたもんだなあと感心する。
 8:45、千頭川本流に合流。一気に白く明るい世界になり、気分も浮き立つ。
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 ここから、安房川本流を目指して、いったん250mほど下る。初めて訪れた千頭川は、いかにも安房川の弟分といった感じで、花崗岩の岩盤が豪快。僕好みの沢のようだ。
 9:10、安房川(右写真)との合流部に到着。
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 僕の完全遡行主義からすると、いったんは安房川の水に体を浸してから、千頭川の遡行開始と行きたい。だが、出合の所が、急角度の一枚岩になっていて、クライムダウンは厳しそう。うーん、どうやって降りようか。
 20mほど下流側の岩盤(右写真)に木が生えていたので、そこから空身のアップザイレンで川床に降りて、帰りはロープを掴んで登り返すことにする。ロープは持参の20mで十分すぎる長さだった。
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 安房川本流に入水してみると、梅雨明け間もないために、かなり水量多め。油断すると流されそうになる、と言ったら大げさか。
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 これが、安房川から見た千頭川出合。ツルツルのスラブ。右手奥は瀑布になっていて、とても無理。しかし、正面まで行くと、左手に良い感じのリスが。ロープを掴んで登り返すよりも、こちらを登った方がスマートだろう。空身なことにも助けられ、3級+、高さ4~5mの岩登りで突破できた。
 しかし、一番しょっぱなからこの難しさでは、千頭川、実は相当手ごわいのか?
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 左写真、下流部にある、最大の滝、12m。爽快。
 猛暑の中、適宜水中に入って体を冷やしたりしながら、のんびり進む。
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 巨岩というよりも岩盤地形が多くて割と楽に進める。と言いたいところだが、この1週間で55km走っている影響で、今日はかなり足が重い。日ごろのランニングの効果で息は全く上がらないのだが、下半身の疲れが抜けていない。
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 標高350m辺りで右岸に人工物が目に入る。トロッコ道にしては早すぎると思ったが、取水施設だった。屋久電の発電関係だろうか?遠慮せずに階段を使って楽させてもらう。
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 10:25、トロッコ道と出合う。この辺に昔の集落跡があるそうだが、確認できなかった。少し行くと、沢では珍しいピンクテープの嵐。右岸側に道がついているようだ。Y社の人がガイドツアーで使うための物だろうか?
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 10:55、標高407mの左俣出合着。左写真の右俣(本流)と比べて、右写真の左俣(支流)は水量比(1:3)以上に、目立たない存在で、気付かずに20mほど通り過ぎてしまったほど。二股というイメージで行ったが、完全に木々に隠れた枝沢である。右俣を完全遡行するには日帰りでは厳しそうなので、今日は左俣を選択。
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 左俣に入ると今までの本流のイメージとは一転、木陰の苔生した沢である。
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 雲水峡に似た感じ。
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 4段15mの滝は、どれも登り応えあり。慎重に直登を繰り返す。3級+。
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 滝の途中に謎の石組み。トロッコ軌道跡かと思ったが、それにしては小さすぎる。堰堤?なぜここに?これを越えると、11:50、ランド線の、前岳登山口(車デポ地点)着。
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 食事をとった後、源頭求めてさらに歩みを進める。すぐに堰堤。その先は、始原の世界。
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 数回、前岳登山道と交差するが、この登山道自体、ほとんど登る人もいない道。
 静かな森の中の遡行が続く。
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 源頭で水を汲んで、最後の急登をひと踏ん張り。
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 13:50、無事安房前岳ピーク着。三角点は二つあるが、頂上の標識はない。以前は安房方面の眺望が良かったらしいが、残念ながら藪の再生力は凄まじく、また今日はガスガスで視界ゼロ。
 帰りはそのまま沢を引き返した方が早そうだったが、今日はフェルト足袋で来ていて、足の裏が痛くなってきたので、少しでも楽をしたく登山道で帰ることに。しかし、登山道は前岳ピークには来ておらず、約600m先の祠まで、コンパス片手に藪漕ぎ(右写真)しないといけない。これが思ったよりも時間がかかってきつかった。
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 15:05、祠着。ここからは素直に登山道を下って15:50、登山口着。
今回初めてスマホのアプリ、ジオグラフィカを要所要所で答え合わせのために使ったが、物凄い精度で非常に頼りになった。ガーミンのGPSなんかよりも遥かに見易く、しかも無料。これを使わない手はないでしょう。


 千頭川左俣は難易度2級。技術的には大したことないが、入渓・出渓ともに僕の嫌いな藪漕ぎが必要なのでその労力を加味して2級とした。花崗岩の白と空の青さが際立つ明るく開けた本流と、照葉樹林と苔の濃緑に囲まれた静謐な左俣との対比が印象的。今回フェルト足袋で行ったが、上部も含めてアクアステルス靴の方が楽だったと思う。装備は念のためのサブザイル程度で十分。最大の難所は、安房川からの入り口のスラブだが、リスにカムとアブミをセットすれば初心者でも登れるだろう。やっぱり、安房川水系は支流も面白いなあと再確認した一本。

Comment

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いや~これは素晴らしい沢ですね。

下部の解放感と上部の苔むす感・・・屋久島の2つの魅力を兼ね備えた沢で,支流でこのスケール感とはさすが屋久島です。

まさにミレーの絵画のようにコントラストの効いた一本でしたね。
インヤン | URL | 2020/08/11/Tue 04:18 [EDIT]
いやあ、昨夜の電話じゃないけど、良いところの写真だけ出してるからで、実際はそこまででもなかったです。
それでも、支流の支流(左俣)であれだけ楽しめるのは、さすが安房川と思いました。
屋久島遡行人 | URL | 2020/08/11/Tue 13:54 [EDIT]

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