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『TOKYO 0円ハウス0円生活』・読書日記
 建築学を学んだ風変わりな若者による本。前半は、ホームレスの鈴木さんへの密着取材記で、鈴木さんの建てた家及び彼の生活について書かれている。
 ホームレスに対する興味本位で読み始めたのだが、鈴木さんが東京の採集狩猟民として、これ以上ないほど地に足のついた生き方をしていることに、ひたすら感銘しながら、最後までサクサクッと読めた。
 鈴木さんの本業は、自転車でアルミ缶採集すること。しかし、同時に自分の家を理想に近づけるべく、路上に落ちている材料にも常に目を光らせている。そしてなんと、酒のつまみとして天ぷらにすべく、柿の葉やタラの芽が採れる場所もしっかり押さえている。東京のビルの谷間でタラの芽を採っている人が他にいますか?実に、「現代」に生きる自然人じゃあないですか!
 そしてまた、自分の家を改良し続ける過程で、電化製品を始め様々なアイデアを現実化していき、その技術を惜しげなく人にも与える。貧乏生活にありがちな悲観的雰囲気はゼロ。そんな彼の周りには、自然と人が集まってきて、信じられないような出会いやプレゼントも多い。
 ただ面倒なことに、隅田川沿いの彼の家は、月に1回大掃除の日だけ国交省の命令で撤去しなければならない。そのため、家は短時間で解体してまた再建できるように、非常にシンプルな構造であり、住人が常に家の状態を細部まで把握できている。だからこそ、自分の家に対する愛着が一層生まれ、改良していくためのアイデアも自然と湧き出てくるのだろう。他人任せで複雑になりすぎた現在の家作りに対する強烈なアンチテーゼといえる。

 本の後半は、著者坂口恭平が、なぜホームレスの家に興味を持つようになったのか、その辺の経緯をつづった半生記。鈴木さんほどではないが、彼の人生もユニークだ。
 ホームレスの家を訪ねて、多摩川の河口から源流まで138kmを徒歩で遡るなんて、常人が思いつきもしないことをやっている。(えっ、沢登りも同じようなもんだって?大分違いますよ。)そんな彼が探索の結果得た建築観も興味深い。
 従来の建築は、設計図に従って枠を作り、その中に人間が入っていくことしかできない。しかし、彼の見つけたホームレスたちは、空間を自由自在に広げたり縮めたりしながら、自分の家を作り出す。材料は全てそこにあるものでまかなう極めて自然なやり方であり、まだ空間化されていないオープンスペースを、勝手に自分のベストの空間に変えていく。場所がいくらでもあるからといって、決して家を広く作る必要は無い。最低限+αで十分。

 「ホームレス」と言われる人たちの中に、実は一番自由かつ自然なホームを持っている人がいる。そんなアイロニーに気づかせてくれる本として、おすすめ。
 蛇足ながら、『貧乏人の逆襲』という、これまた去年少し話題になった貧乏関係本も続けて読んだ。こちらの著者もアナーキーな生き方という点ではもの凄いが、やはり『0円ハウス』の方が、僕の好みだった。

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