スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
大川最下部(大川の滝)・屋久島沢登り記録
大川1

 今年の屋久島は、2月3月と記録的な暖かさだったが、5月に入ってからは風が冷たく、今ひとつ沢に向かおうというお尻のムズムズ感が出てこずにいた。そのため、例年より1ヶ月遅れになってしまったが、今日ようやくシーズン初沢に行って来た。
 
 いつもの事ながら、山に行く朝は非常に憂鬱な気分だ。重い荷物を背負ったまま本当に一日歩き通せるのか、滝で落ちて死んでしまうんじゃないか。ましてや、数ヶ月のブランクでなまり切った体、シーズン一本目の沢ともなると、憂鬱さが3倍増である。おまけに今朝の空は、いつ雨が降り出しても不思議ではない、鈍重な灰色。重苦しい気分で栗生に向かう。
 当初は、大川を海から遡り、大川の滝(落差88m)は偵察しながら巻いて、上大川橋までゴーロ歩きをする予定だった。が、朝、花山歩道を車をデポするために登っていき、上大川橋に着いた途端、屋久島特有の親指のような雨がザーザー降って来た。内心どこかでホッとしながら、予定をあきらめ引き返し。海から大川を遡り、大川の滝を後日の登攀に向けて偵察するだけでお茶を濁すことにした。
 ところが、海から登り始めてたった10分で大川之滝に着いてしまい、ルート観察をしているうちに、空が一転、青空になってしまった。こうなると現金なもので、俄然やる気が湧いてくる。
 同行はHさんとKさんという実力者のみ。ザイルも2本ある。よっしゃ、折角だから、大川の滝登れる所まで登っちゃいますか!

 ルートは、YNACのOさんがかつてブログで紹介していた、左滝左ルートにした。近くで見て、これが一番やさしそうだったから。
 まずは右岸のブッシュを巻きで登る。これで15m近く稼いで、滝最下部の一番難しい所はスルーできた。
大川2大川3大川4大川5大川6大川7
 そして、いよいよ1ピッチ目(左上)。誰もトップをやろうとしない。仕方なく、言い出しっぺの僕がリードすることに。正直、恐いので、いつもはしないダブルロープにして、万一の事態に備える。
 昨日、今日雨が少し降った影響で岩肌に水がわずかに流れており、実にヌルヌル良く滑る。ホールド、スタンスも小さめの物が多く、ガバはまるでない。確保に関しては、小さめのカムが効くことは効くが、一部100%の信頼を置けない物もあり。ハーケンを打てそうなリスは豊富にある。が、ハーケンを打つ間、微妙なスタンスで踏ん張り続ける右足のふくらはぎがパンパンに腫れて来て、しまいには小刻みに震え出す。ここで落ちたら、グランドフォールはないにしても、3m大根おろしの刑だ。恐怖で頭から脂汗が滲み出す。2回A0して、その上ホールドにバイル引っ掛け技も駆使したりで、合計3~4ムーブ、一か八か的な箇所があった。Ⅳ級+。とにかく緊張の連続。20mほど登ったところで、ようやく少し傾斜が緩やかになったので、キャメロットを3箇所に決めてセルフビレイをとった。
 こんなに難しいところなら、お金を払ってでも、Oさん(=プロの沢ガイド)にお願いしてリードしてもらうんだったよ。大体、シーズン1本目に来る所じゃないよなあ。と後悔するも先にたたず。気がつくとなんだかみぞおちが痛い。自分の吐く息もすごく臭い。これは、あまりのストレスで十二指腸潰瘍かAGMLになったに違いない。体内のアドレナリンも出尽くした感じだし、次は是非トップを代わってもらおう。
 ところが、後続で登ってきた二人が「いやあ、こんな所よくリードできましたねえ!僕じゃあとってもできないや。」と口を揃えて言う。これでもし僕が、2ピッチ目リードしたくないと言い出したら、今日はもうここから懸垂下降で帰るべ、という雰囲気になってしまった。今日という機会を逃すと、大川の滝は恐らく永久に登れなくなってしまう。そのため、結局最後まで、僕が全てリードする破目になった。僕の胃袋、何とかもってくれー。
 しかし、2ピッチ目は岩が乾いていて、傾斜もゆるく、比較的楽勝。Ⅲ級。途中、Oさんの作った第1ボルト部を越えて、20mほど登った所にあった立ち木でビレイをとった(右上)。
 3ピッチ目(左中)は、流れの中の木の根っこをうまく使いながら登り始め、途中ちょと難しいも、まあⅣ級-。20m行った所のOさんの第2ボルトで切って、昼食休憩。下界の眺めは最高。下から大勢のギャラリーが僕らを見上げており、中には手を振ってくれる人もいる。
 4ピッチ目(右中)はチムニーをバックアンドニーでずりずり登り、やや難しい岩の乗っこしをずり上がると、そこが落ち口だった。まだ2ピッチくらい残っていると思っていただけに、最後はちょっと拍子抜けした。20m、Ⅳ級。Oさんの第3ボルトは恐らく懸垂下降用と思われ、登るルートからは左側に外れているように感じた。ボルトに引きずられて左に行かないようにした方が良いと思う。それにしても、ルート整備をしてくれたOさんの努力には頭が下がる。
 落ち口からの眺めは、ここまで登ってきたものだけが味わうことのできる、まさに絶景。下で見上げる観光客が、豆粒のように見える。(左下の写真に写っている人分かりますか?ヒント:額に手を当てて、見上げています。)気がつくと、みぞおちの痛みもいつしか治まっていた。
 で、実は最後の最後にもう一つ核心があった。滝の落ち口を右岸から左岸に渡らなければならないのだ。僕は気合を入れて、ジャンプ一閃1mの川幅を跳び越したが、他の二人は、流れの中に身を入れて渡ってきた。確かにジャンプの着地で滑って88m下に向けて落ちて行くのは恐いが、不可抗力の大きい水流に流されるという事態はもっとありそうで恐いと僕は感じたのだが・・・。どちらが危険と感じるか、人によって様々だなあと思った。右下の写真、あなたなら、どちらを行きます?どちらを行くにしても、ザイル確保は必要なので、これが5ピッチ目ということになろう。
大川8大川9
 大川の滝のすぐ先に20mF2(左)があり。これは直登はまず無理そう。左岸を巻いて少し行くとすぐに20mF3も遠望できる(右)が、これも難しそう。F3を見た後は、藪の急斜面を気を付けて降りれば、懸垂下降をせずに滝壺の少し下流部まで降りられる。

 屋久島移住前から、いつかは片付けなければならないと思っていたいくつかの課題の一つ、大川の滝登攀。それが、全く期せずして今日達成することができた。心地良い疲労を感じながら、尾之間温泉につかって、帰路についた。

 大川の滝は、途中の飯休憩も入れて、上まで所要時間約4時間。1ピッチ目を登っているときはどうなることかと思うが、そこさえ登れれば後はまさに「案ずるより産むが易し」で何とかなる。全体を通してⅣ級+。昨年秋に行った、増水期の布引の滝登攀の経験がすごく役に立った。布引の滝に比べて、難易度は1.2倍、長さは1.8倍といった感じ。
 リードする人はダブルロープにした方が安心。ハーケン、キャメロット(エイリアンの緑、青も欲しい)の類は持ち過ぎと思うくらい持って行った方が良い。アブミは今回使わなかったが、あっても良い。完全な渇水期を狙って登れば、今回よりかなり楽だと思う。


Comment

管理人にのみ表示する

手に汗握る登攀でしたね
 お疲れ様でした。キャンセルになってしまいすいません。
無事終了したみたいでよかったです。

 文章を読んでいる私も手に汗握りました。
吉原哲士 | URL | 2009/05/24/Sun 19:55 [EDIT]
今度は御一緒に。
今回はご一緒できなくて残念でした。
梅雨前に沢、もう1回行けたらと思ってます。(次回は大川の滝の続き。)
今後ともよろしくお願いします。
屋久島遡行人 | URL | 2009/05/24/Sun 20:36 [EDIT]

Track Back
TB*URL

Copyright © 源頭の風景を求めて・・・. all rights reserved.
Design by Pixel映画山脈

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。