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『日米同盟の正体』・読書日記
 景気・雇用対策、医療・福祉・年金、食糧・エネルギー自給等とならんで、今の日本で避けて通れない問題、国防及び対米関係。これについて、何が問題なのか、どう考えていくべきか、一冊読むだけで俯瞰できてしまう、全有権者必読といってもよい好著。
 著者は外務省出身、ウズベキスタンやイランの大使を経て、先日まで防衛大学教授だった人。序章でいきなり、軍人(自衛隊)がもっと軍事政策決定に関与していくべきとぶち上げ、さらに第1章で、日本は戦略思考、謀が全くできていないと嘆く。著者のキャリアからしても、かなりのタカ派の内容かと警戒して読み進めて行くと、実際は素晴らしいハト派の本だった。(ちなみに、第1章に関連して、日本国中が今いかに平和ボケしていて、外国諜報機関の格好の餌食になっているかの実情は、最近話題の『ドキュメント秘匿捜査』に詳しい。)

 ソ連が崩壊し冷戦が終了したことで、世界は軍縮に向かい、平和が訪れるはずであった。しかし、アメリカは、他国を圧倒する軍事力を維持するために、新たな敵(イラン・イラク・北朝鮮等)を作り出すという国家戦略を選んだ。これは、ブッシュジュニアだけの問題ではなく、パパブッシュの時代から始まり、今のオバマ政権でもしっかり受け継がれているから、今後のアメリカも全く安心できない。
 この戦略に基づいて、日米関係においても、日本の自衛隊にアメリカの軍事戦略の片棒を担ぐ行動を要求できるよう、日米安保条約が変質して来ている。よく、「安保条約は、日本がアメリカの傘の下で守らせてもらい、金は出すが血は出さずに済ませていて、これではアメリカ人が怒るのも当然だ」、という議論が日本人の間でも出る。しかし、この議論がいかに見当違いでアメリカに騙されているだけなのかも、説明される。とにかく、アメリカの尻馬に乗っていくのは危険極まりない。
 (ところで、イラン、イラクがなぜ、「悪の枢軸国」なのか?僕はてっきり、石油利権だと思っていた。でも実は違うらしい。真の理由は、イスラエルの安全保障上の問題である。けっ!また、イスラエルかよ!)

 では一体、日本は国防上どういう道を進めば良いのか?、これが最終章で明かされる。
 まず、ロシア、中国という核保有国を近くに持ち、一極集中型(東京、大阪等のいくつかの大都市に核爆弾を落とされれば、国全体が壊滅的打撃を受けてしまう)の日本は、独自の軍事力で他国の攻撃を抑止することは不可能である。
 対案として著者が挙げるのが、グローバリズムの深化である。例えば、今の中国がなぜ日本を核攻撃しないか。それは、国民に経済発展を約束してなんとか一党独裁を維持している中国共産党が、日本と戦争して経済交流が途絶えたときに、政権を維持できるか考えてみれば容易にわかる。
 さらに、日本がすべきは欧州NATO諸国との連携である。アメリカの隣国であるカナダがNATO加盟国であるために、イラク派兵を拒否できていたというのは、驚きだった。

 末尾がまた秀逸。一つのテーマを勉強しようと思ったら、対立するいろんな立場の本を100冊は読むべきだとして、安全保障に関する様々な基本文献がリストアップされている。著者のこの誠実、真摯な態度がこの本の客観性、説得力を生み出したのだ、と納得。


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