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大川上部・屋久島沢登り記録
大川31

 7月10日~11日、前回の続きで大川の上部に行ってきた。太田五雄さんや友人の奥田君なんかは1日で行っているようだが、せっかくなので、鹿之沢小屋で一泊するつもりでゆっくりした予定を組んだ。生憎2日間休みが合う沢仲間がおらず、4年ぶりの沢単独行になってしまった。
 前夜寝るのが遅かったので起きるのも遅くなり、8時に自宅を出発し、上大川橋から入渓したのは9時半であった。
 歩き始めてすぐ、ペースがまるで上がらないことに気づく。ここ数日仕事と私用で忙しく、5~6時間睡眠が続いていたから体が重いのかなあと思った。が、何のことはない、荷物が重いのだった。例によって、まるで軽量化を考慮しなかった結果、たかが1泊2日なのに20kgを少し越えているのである。当初テントも持ってくるつもりだったが、60Lザックに入りきらず、泣く泣くツェルトに替えた昨夜の選択が、今となっては唯一の救いである。
大川32大川33
 沢の印象は、先月行った下部と同じで、巨岩の合間に小滝が現われるというもの。ザックだけ先に上げて空身で登る岩が2箇所あったが、ザイルを出すような難しい所はほぼない。
 但し、下部は綺麗で楽しかった記憶があるが、今日は天気が予報に反して曇天のため、さほど美しさを感じられず、気分も盛り上がらない。それどころか、沢の単独行ということで、胃の中に鉛が入ったような重苦しい気分が続く。ちょっとした怪我も許されないから、コース取りも、チャレンジングなワクワクする水流の中心ではなく、安全かつ体力消耗が少なそうな場所を選んでしまう。気の合わない人と二人で行く沢はイライラして嫌なものだが、やはり一人で行く沢もよほどの好条件に恵まれない限り、同じくらい楽しくないなあと痛感。
 ペースと自分のバテ方からして、今日中の小屋到着は無理と早い段階で判断。太田さんの本に記載のある、標高1200m位、左岸の3~4人泊まれそうな岩屋を目標テン場として頑張ることに。
大川34大川35
 標高1000m位の所で、右岸にピンクテープが何箇所か出現。斜面の上の方にも3本ほど確認できた。もしかしたら、どこかの林道からここまでたどる道を誰かが作ったのかもしれない。この辺りから、岩が苔むしてきて、杉の大木も周りに目立ち始め、昔の(人があまり入っていない頃の)白谷雲水峡はこんな感じだったのだろうか、という景色に。ところどころで咲くツツジの花も彩りを添える。ただ、景色はいいのだが、岩の苔がズルッと剥けることがあり、何度か転倒しそうになる。危ない危ない。(苔さん、すみません。)集中力も落ちてきたなあと思った頃、巨岩の乗っ越しで、ぐいっと体を持ち上げた瞬間、気づかずにいた枝にザックが引っかかり、体を思い切り後ろに振られてそのまま転落してしまった。幸い地面から60~70cmの高さからの転落で、左手で受身を取ったので体幹は大丈夫だったが、左第2指中手骨を岩に強打してしまった。触診上骨折は無いと自己診断。そのまま遡行を継続する。
 例の岩屋と思われる所にやっとの思いでたどり着くと、何と岩屋の地面を枝沢の水が流れていた。この上には、いくらなんでも寝られない。がっくりして、もう気力も完全に切れてしまった。幸いすぐ上の標高1220m地点右岸に、水流より3mほど上、腐葉土の緩斜面があり、そこをビバークポイントと決める。17時だった。
大川36
 ビールで一人乾杯をし、カレーを作り始める。大量に持ってきた生の野菜の半分近くがコッヘルに入りきらず、明日も担いで持って帰ることに。涙・・・。さて二口目のビールを飲むかと手を伸ばしたら、いつの間にか缶が倒れていて、中身が全部無くなっていた。涙・・・。でも負けるものか。カンパリレモンが300cc残っているぞ!デザートには杏仁豆腐とパッションフルーツだってあるんだ。
 19:30、日没とともに、一人虚しく就寝。自分にとって大切なものは妻と二人の子供なんだなあと、痛切に感じ続けた一日であった。

 夜中におしっこで起きて、その後1時間半ほど寝られなかったが、結局目が覚めたのは朝6時半。やはり、寝不足がたまっていたのだ。
 前夜の残りのカレーをさっさと食べて、7時半出発。
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 上流部は、いよいよ岩と苔と木と水のバランスがとれてきて、淀川のような雰囲気になってくる。天気もそこそこ良く、時々薄日が差し込んでくる。そして夏道が近いと思うと、昨日ほどの憂鬱な気分は無く、景色を楽しみながらデジカメで写真をバシャバシャ撮りまくる。9時10分沢の中にトラロープが横断してあり、ついに永田歩道と出会ったことを知る。ここから先がさらに美しいと予想されたので、歩道には上がらず、そのまま遡行を継続する。
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 10分ほど進み、右に曲がった瞬間、それは突然の出現だった。思わずウワッと声が漏れた。「七ツ渡し」、日本庭園風ナメラ。沢登りをする人間だけが立ち入ることの許される、まさにこの世の楽園である。今までただのお荷物だった、ミノルタα-7をザックの奥からいそいそと取り出し、シャッターを切りまくる。(ここは、淀川本流や、石塚小屋谷にも匹敵する屋久島屈指の美しさであることを保証する。沢を本格的にやらない人でも、永田歩道からちょっと入るだけで簡単に行けるので、晴れた日に是非行ってみてほしい。でも、絶対にゴミを残したり、傷をつけないで欲しい。)
 沢は徐々に枝分かれを繰り返していく。かなり、ヤブ漕ぎがきつくなり、水流的に本流・支流の見分けも難しくなってきたので、歩道から離れないよう左股を選択して行ったら、あっけなく小屋とトイレの中間部の永田歩道に出た。そこから1分の歩きで、10時40分、鹿之沢小屋着。本当は、完全な源頭まで行って、さらに永田岳ピークに立ちたかったが、藪漕ぎが余りに激しそうなのと、体力がもう残ってなかったので、おとなしくここで引き返すことにする。
大川47
 花山歩道は荒れていて、秀岳荘地下足袋で降りるのはきついものがあった。15時半、花山歩道入口着。
 家に帰る途中、船行でビートルのエンジンが故障して動かなくなり、妻にパジェロミニで迎えに来てもらうというおまけまでついた一日だった。本当に疲れた~


 大川上部は、大滝登攀の楽しさは無いものの、屋久島の沢らしい美しさの詰まった、なかなかの秀渓だと思う。技術的には下部と全く変わりない。特に前半で延々と続く巨岩をいかにうまく処理するかにかかっている。但し下部と比べると、標高差1000m強とそれなりの長丁場で、普通の人は沢中1泊を想定した方がいい。その分を加味して、難易度は2級上としたい。安心のため、30m位のサブザイルは欲しいが、カム、ハーケン、バイルの類は全く必要なかった。
 ところで今回、僕は小屋まで10時間半強もかかってしまった。これは、1年生連れの合宿並みのコースタイムではなかろうか。最近沢登りに関してつけ上がり気味だったが、自分の今の実力はこんなものかと思い知らされて、つくづく情けなくなった。
 当分単独行は止めようと思う。



Comment

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無事遡行お疲れ様でした
 美しい写真とリアルな文章、大笑いしながら読みました。

まだ見ぬ大川。いつか遡行したいです。
よしはら | URL | 2009/07/15/Wed 04:23 [EDIT]
お勧めですよ。
前半部分がちょっと冗長に過ぎるかなあという感じですが、後半どんどん良くなっていって、なかなか素敵な沢でした。
屋久島遡行人 | URL | 2009/07/15/Wed 09:04 [EDIT]
バッテリー受け取っております。
単独だったんですね。流石。
一昨日、今日と海遊びに行って来ました。
海もまた夏だけの事ですし、ぜひ今度素潜りもご一緒してみたいです。
ビートルお大事に・・
K崎 | URL | 2009/07/15/Wed 18:23 [EDIT]
素潜り、いいですね。
屋久島に来てから、まだ本格的な魚突きをしておらず、一度気合いを入れて誰かに習いたいと思っていたところです。僕の場合、まずは道具(手銛)を揃えれば、体が動き出すのかな?
MOGULER’S DELIGHTというホームページ、すごいですよ。見てみてください。管理人の顔が、髪の毛はやしてた頃の自分に心なしか似てるんだよね、また。
屋久島遡行人 | URL | 2009/07/16/Thu 20:13 [EDIT]
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| | 2014/08/30/Sat 16:39 [EDIT]

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