スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
『羆撃ち』・読書日記
 いろんな雑誌の書評で取り上げられているのを目にして読んでみたが、噂にたがわずすごい本だった。いや、すごい生き方をしている人だった。
 北海道標津町において、羆を中心に猟をしている久保俊治さんが、自らの狩猟人生を綴っている。今でこそ牧場経営が中心になっているようだが、若い頃は、純粋な猟師として山で獲物を追いかけることだけで生活している。以前にも、類似の本で、昭和初期の東北マタギの生態を描いた小説を紹介したことがあった。が、この本の内容はほぼ現代の話であり、なおかつ、自分自身の体験をそのまま記録しているところが驚嘆物である。
 羆の足跡を見つければ、執念深く、いくつもの尾根筋、沢筋を越えて、雪の上にビバークを重ねながら何日間でも追跡していく。そして、遂に羆との一対一の命を賭けた勝負。首尾よくしとめられれば、今度はそれを解体し、余すところなく一人で担いで里へ持って帰る。
 彼が山に入る時、地図だのコンパスだのはどうも持っていないようだ。山屋の僕でも、道に迷わないか(そもそも登山道などないのだが)心配になるのだが、足跡を追いながらも同時に周囲の自然の地形を驚異的な観察力で把握しているのが、文章を読んでいると良くわかる。山に入るのに地図とコンパスを持っていくのは常識中の常識と思い込んでいる自分が、実は自然を五感で捉えることができていない、浅はかな人間であることに気づかされて、恥ずかしくなった。

 一番すごいと思った一節。
 (羆に向かって)「俺が負けたときは、誰も山で見つけ出してくれないだろう。そのときは、自然の一部となり土に還る。その覚悟はできているつもりだ。」
 もう、何と言おうか、性根の据わり方が僕なんかとは全く別次元なのである・・・。参りました。

Comment

管理人にのみ表示する


Track Back
TB*URL

Copyright © 源頭の風景を求めて・・・. all rights reserved.
Design by Pixel映画山脈

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。