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安房川中下部・屋久島沢登り記録
千尋の滝
 昨日、8月29日、安房川中下部に行ってきた。今回は、前回の続きで、千尋の滝から入って、小杉谷まで。同行は、もはや沢の盟友とも言える、いつものH店長。
 千尋の滝から大株歩道入口までの安房川中部は、過去に遡行しているパーティは少なくとも2つはあるようだが、記録は見当たらない。渓相は、下部の様子から大体想像がつくものの、実際にどの程度の難易度なのか、ザイルを何回くらい使うことになるのかまったく不明である。それで、今回は気合を入れて上級者のみで臨むことにした。
発電所遠望階段より
 荒川登山口へは夏期間一般車両進入禁止のため、6:00、安房の屋久杉自然館からシャトルバスに乗り込む。6:40、登山口着。縄文杉登山のグループでごった返す中、トロッコ道を僕らは縄文杉とは逆方向へ歩き始める。今日は晴れているのだが、陽射しが柔らかく、空も高くてどこか秋の気配を感じさせる。今年の夏は最後まで本格的な暑さになることがなく、終わりつつあるなあと思う。中島権現岳を左手に見ながら進むと、やがて、行く手に送水パイプと第一発電所が見えてくる。7:20、発電所の上に着き、パイプ横の601段の階段を千尋の滝目指して下る。下りながら千尋の滝をしげしげと見るが、ボルト連打をしない限り、やはり直登は無理だろうと思った。
ルンゼから淵を望む
 7:40、滝の巻きを開始。滝の右岸にある、電線メンテナンス用と思われる作業道(石段でできた立派な登山道)を上り始める。登り始めで高度計の標高を320mにセットし、410m地点で、滝の落ち口を目指して、道を外れて水平トラバースに入る。ヤブ漕ぎは大した事はないし、ザイルを出すような危ないところもほとんどない。15分ほどヤブを漕ぐと、ルンゼが現われ、その下に緑色の淵が見える。このルンゼを下ると、ドンピシャで千尋の滝落ち口に降り立つことができた。アップザイレンも不要なこのルートが、結果的に最も楽かつ安全な巻き道だと思った。下手に滝の近くを滝を見ながら巻こうとすると、途中で強烈なスラブに行く手を阻まれることになろう。
千尋の滝落ち口権現岳遠望
 滝の落ち口は魅惑的な淵を成しており、早速そこに飛び込んでアプローチのアップダウンで火照りまくった体を冷ます。サウナの後の水風呂のようで最高。振り返ると中島権現岳の雄姿が見える。
蜂の巣
 8:20、遡行開始。歩き始めてすぐ、巨岩に大きなスズメバチの巣が引っかかっていた。ハチがブンブン嫌な音を立てながら、威嚇してくる。
 さて、沢は中島権現岳をグルッと回り込むように進むわけだが、とにかく、巨岩が凄い。今までの安房川下部は巨岩が大きすぎて岩盤になっていて、その上をただ歩けばいいという感じのところも多かったが、この辺りの巨岩は物置小屋~平屋建ての家サイズにまで小さくなっていて、一番処理が難しい。新手のフィールドアスレチックゲームですか?という位、全身の筋肉を総動員して、跳んだり攀じたりくぐったり、という感じでじわじわと歩を進める。巨岩の隙間を見つけ出してくぐり抜ける所が2箇所あったが、肩車をしたりアブミを出す場所はなかった。と言っても、これは行く人の突破力次第であり、メンバーに小柄な人がいたら、あらゆる所で介助しまくらないといけないだろう。
権現岳スラブ
 中島権現岳の北西面スラブ。ここを過ぎる辺りから、巨岩が少し小さくなり、歩くスピードが早まる。11:20、荒川出合着。荒川はダムで堰き止められているため、ほぼ水が枯れていた。この上から、今西錦司が放流したものの子孫と思われる川魚(20cm超)が、あちこちで見られるようになった。次回は竿を持ってくるべし・・・。
淵の景色水生動物の眼から
 ところで、岩の上を跳び歩くとスピードは早いのだが、すぐに体が熱くなってくる。それで、淵が出てくるたびにわざわざ水に入ってゆっくり泳ぐ。泳ぎながら川の水をゴクゴク飲み、水中の岩をつかんでオオサンショウウオのように這って進む。なぜか無性に楽しくて仕方がない。自分の祖先が水生動物だった頃のDNAの記憶が呼び戻されるのだろうか。そんなことを繰り返すうち、12:30、太忠沢出合着。
テニスコートONE?
 そこから15分進んだところで、今年一番の光景に出遭った。テニスコートの広さ位の花崗岩の真っ平らな岩盤の上にエメラルドグリーンの水がひたひたと満ちている。この場所に足を踏み入れた人間は有史以来まず100人といないであろう。沢登りを始めて15年以上経つが、こんな景色は外では見たことがない。屋久島には、まだ見ぬ絶景が、人知れず残されているなあ、と感慨ひとしお。ちなみに、そこで撮った水中写真が、前回紹介した種子島の海の写真以上に、『one』の表紙写真に似ている・・・。
 13:20、小杉谷到着。橋の手前左岸にある小道を辿って、小学校跡地に上がって、今日の遡行は無事終了。トロッコ道の帰り道、僕らだって一生懸命歩いているにも関らず、ズック靴に半ズボン姿でナップザックを突っかけた縄文杉帰りの若者グループ(20歳前後)にぶち抜かれた。年齢による衰えに愕然とした40代二人組であった。14:15、荒川登山口着。

 安房川中下部は、最初の3割ほど(中島権現岳の回り込み)が、とにかく巨岩の乗っ越しに苦労させられる。跳ぶのに失敗すれば大怪我を負いかねない場所も多く、気を抜けない。滝は全く無いし、ザイルを出すような難所も無いものの、全体的に難易度3級はある。ライフジャケットを着けて行ったが、無くても大丈夫だったと思う。それでも全身水につかる場所が多いので、夏の暑い時期に行くのがお勧め。


Comment

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お久しぶりです。
安房川の完全遡行記録,楽しく読ませてもらっています。

①千尋の滝上の巨岩帯
いや~,あれは処理が大変ですよね。1時間近く歩いても視界の範囲しか進んでいなく,「荒川出合」まで行けるのだろうか,と不安になったことを思い出しました。夕刻,夕陽に照らされる中島権現岳の西壁が鮮やかでした。

②太忠川先の明鏡止水トロ
あれは私の経験内でも,滅多に出会えない渓谷美だと,今でも思っています。屋久島には人知れず,あのような場所があるのでしょうね。

残りは荒川出合~大株歩道入口ですね。
私たちは歩道入口手前のゴルジュを巻いたので,あそこだけが心残りです。
ぜひ突破されることを期待しています。記録楽しみにしています。
インヤン | URL | 2009/08/30/Sun 12:33 [EDIT]
コメントありがとうございます。
そうですか、噂には聞いてましたが、やはり歩道入口手前のゴルジュは難しいですか。装備をいっぱい持って、近日中にチャレンジしてきます!
屋久島遡行人 | URL | 2009/08/30/Sun 19:52 [EDIT]
良いなぁ。
 あの日の朝 体操しながら出発姿を横目で見ておりました。
 んな所に行ってましたか羨ましい!

 「歩道入口手前のゴルジュ」
 毎日上から覗き込んでいますが・・・水量によって確かに感じは変わるのですが、見ていて「今日ならいけるな」と感じた事はありません。

 あの岩のフリクションは・・?行ってみたいですなぁ。
K崎 | URL | 2009/08/30/Sun 21:30 [EDIT]
毎日の縄文杉、ご苦労様です。
朝は気づかず、失礼しました。
ゴルジュ、むずそうですか。ボルトも持っていきましょうかね。
で、リードは、毎日見ているK崎君にお願いしてもいいですか・・・?
屋久島遡行人 | URL | 2009/08/30/Sun 23:19 [EDIT]
「海岸通り」
千尋滝は登れないかなあ。
平らな岩盤のところはその名も「海岸通り」。小杉谷時代に人々の憩いの場となっていたところです。少し上流で軌道から下り、花崗岩のバンドをとおって到達できるので、人気があったみたいです。
大杉谷出合下のゴルジュは、渇水期なら可能性はあると思いますよ。
mossforester3 | URL | 2009/09/08/Tue 01:32 [EDIT]
「海岸通り」ですかあ!
なかなかしゃれたネーミングですね。
娯楽のない時代、あの美しい場所で、休日を家族で過ごしていた往時の小杉谷の人々の姿が目に浮かびますよ。
それにしても、さすがmossforester3さん、何でもよくご存知で!
ところで、大杉谷出合下ゴルジュ、リードをmossさんにお願いできませんか。m(._.)m
屋久島遡行人 | URL | 2009/09/08/Tue 11:55 [EDIT]

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