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『果てなき渇望』・読書日記
 まずは、このFrank Zaneを見て欲しい。
 これを見て、「気持ち悪い」と思った人は、今日の続きは読む必要がないでしょう。どこか心にグッと来るものがあった人だけ、続きを読んで下さい。
 今こう言ってもあまり信じてもらえないのだが、僕は小学生時代、年に20日近く休むような虚弱児で、その後もずっとガリガリの体にコンプレックスを抱いていた。高校に入る前の春休み、ブルース・リーの映画を見て、ガツンと衝撃を受けた。その頃、たまたま父が友人からバーベルとベンチを譲り受けたので、いい機会と早速ボディビルを始めたわけだ。月々の小遣いを全てプロティンに注ぎ込みながら。
 その当時、部屋に貼っていたポスターが、先のFrank Zaneである。(彼は、その後映画スターとなったシュワルツェネッガーがバルク(筋量)でチャンピオンになったのに対して、ディフィニション(筋肉の切れ)でチャンピオンになった選手としてボディビル界の一世を風靡した。)
 大学に入ってからは、夢中になる対象が少林寺拳法から極真空手へと変わっていったが、この間も一貫してバーベルを使ったウェイトトレーニングを続けていた。今でも、バーベルはさすがに使っていないが、夏場になると、腕立て100回、腹筋100回+懸垂30回を交互に毎日繰り返し、プロティンも飲んでいる。

 自分の話が長くなってしまったが、この本の副題は、そのものずばり、「ボディビルに憑かれた人々」。全て実話である。

 第1章は、日本のコンテストでトップクラスの選手の話。
 全ては筋肉を大きくするという目的のために、一日に4回も5回も食事を摂りながら、毎日極限まで体を苛め抜く。その結果健康体かというと、全身の関節や腱が痛み、扁桃腺は腫れっ放し、一年中37度の微熱が続くという悲惨な状態にいる。もちろん家族の犠牲も大きい。
 彼らは、イチロー並みと言わないまでも、そこらのプロ野球選手なぞ足元にも及ばない禁欲的努力を続け、才能もある。それでも彼らは全員アマチュアである。コンテストで優勝しても賞金が出ないので、そもそも日本にプロとして食っていけるボディビルダーは一人もいないのだ。皆、ジムのインストラクターやサラリーマンをしながら、夜中までトレーニングをし、薄給をサプリメントや日焼けサロン代に注ぎ込んでいるのである。
 この辺の話までは、自分の身と照らし合わせて、なんとなくわからなくもないのだが・・・。

 第2章は、女性ボディビルダーの話。
 男のボディビルダーはひたすら筋肉のサイズを追求していけば良いのだが、女のボディビルダーはそこに女性らしさという要素も要求される分、事情が複雑らしい。しかも、一流の女性ビルダーほど、過去にジェンダーの問題で悩んできたらしいことが推察され、本当に大変そう。
 女性ビルダーは減量の過程で生理が止まる。生理が止まる=女でなくなることで、ようやくコンテストで戦う身体を手に入れることができるそうだ。
 ここまで来ると、ちょっと普通の男には理解できにくくなってくる。

 そして、第3章はこの本の白眉。禁止薬物=ステロイドを使っている(ドーピングをしている)ボディビルダーの話。
 日本のボディビル界は、ステロイド使用に対して世界一厳しい。彼も抜き打ち検査で陽性となり、そこから追放される。しかし、彼はステロイドを止めない。そもそも、彼が目指しているのは日本の頂点などではないから。とにかく、ひたすら自分の筋肉の大きさだけを追い求めているのだ。その存在はもはや人間とは言えず、モンスターである。
 モンスターになるために、毎日1万キロカロリー(普通人の5倍)を食べ続ける。ステロイドの副作用で(生体が、極端に男性側に振れたホルモンの針を女性側に振り戻そうと頑張る結果)女性化乳房が出現すれば、それを抑える別の薬も飲む・・・。
 「自ら異形の道を選択したものに退路はない。」
 そう平然と言ってのける彼の心境に至っては、僕には全く理解不能!

 まあ、とにかく凄い本だった。若い頃筋トレにはまった覚えのある人は必読です。(但し、絶版なので、古本で入手して下さい。)

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