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永田の地杉の伐採
地杉11
 ついにこの日が来てしまった。
 120年の命を頂く日。
 今日を過ぎたら、もう後戻りはできない。
 この木の命を無駄にせぬよう、素敵な家を建て、素敵な家族になっていかないといけない。

地杉2
 朝8時前。永田の裏山の林に、有水製材の方々5人と、僕ら家族、それにギャラリー数名が集結した。
 持参した米、塩、焼酎、タンカン、おはぎをお供えし、木を切らせていただくお許しを乞い、作業の無事安全を祈願する。

地杉13
 早速伐採作業開始。「自らも伐採を手伝ったよ」と後で語って自己満足したいため、僕も愛用のマイチェーンソーで最初の数本切らせてもらうようお願いした。手始めに直径25センチほどの木。この位なら尾之間の土地で何本も切っているから楽勝、と思ったが、全然切れない。昨夜、チェーンソーの刃を新品に交換しておくはずだったが、風呂作りに頑張りすぎたせいで店が閉まってしまい、仕方なく目立てをしておいた。だが、やはり僕の目立てでは駄目なようだ。職人さんに別のチェーンソーをお借りしたら、こっちはあたかも木に食いついていく感じで面白いように切れる。切り方も教わりながら、あっという間に倒す。狙い通りの方向に倒せたが、隣接する2本の大木が立て込んで生えていたため、その間の枝に引っ掛かって斜めになったまま倒れきれず。まあ、これはプロでも時々あることで仕方ないか。
 その後職人さんが、わざわざ僕のチェーンソーを目立てし直してくれた。既にかなりの足手まといになっていたが、さあ、これで僕も作業再開、と思った途端の出来事だった。

 叫び声がした方を見ると、若手職人のTさんが、倒れてきた杉になぎ倒されていた。
 作業開始30分も経っていないのに、いきなりの大事故だ。血の気が引く。
 幸い下敷きにはなっていないが、左胸部を強打した痛みのため倒れたまま全く身動きとれず。呼吸するのも苦しそう。バイタルサインには問題ないが、診察上肋骨骨折はまずある感じ。その他肺挫傷や血胸が心配である。しばらく安静にしていたが、すたすた動けるようにはならず、病院に一緒に行く。CT、エコー、レントゲンをして、内蔵の損傷はないことが確認できた。恐らく肋骨骨折だけだ。大怪我でなくて本当に良かった。
 彼は自宅に戻り、僕は再び現場に戻った。現場で確認すると、どうも彼は、僕が倒しきれなかった木にやられたらしい。つまり、その木が引っ掛かっているのを気がつかないまま、支えていた大木を切ったために、切り終えたとき、共倒れした僕の木になぎ倒されたのだ。
 素人がいい加減な気持ちで山に入り中途半端な仕事をしたばかりに、他人の大怪我のきっかけを作ってしまった。あれほど人を傷つけるような生き方をしたくないと思ったはずなのに、またやってしまった。穴があったら入りたい気分だ。皆様に対して本当に申し訳ない。
 以後、自分での伐採は自粛した。


地杉14 地杉19
 さて、推定樹齢120年、この林最大の杉である。胸高周囲290cm。
地杉15地杉16
 二人がかりで、大チェーンソーとクサビを使っての大仕事。
地杉17
 それでもものの5分とかからずに切り倒されてしまった。この木の生きてきた一世紀以上という悠久の時と比べると、なんとあっけない最期なのか。倒れた瞬間、地響きというより、地面が一瞬揺れた。まるで巨象の最期のようだった。

檜11檜12
 そして、林内唯一の檜。胸高周囲260cm。
檜13檜14
 こちらも5分とかからず。

地杉18
 今日だけで数十本。一気に敷地内の杉の半分は切ってしまった。(追記:僕はこの日午後3時に帰ったのだが、翌日確認した所、結局日没までかかって、全て切り終えたらしい。)
 「自分の夢だった地杉を使った家造り。その完成に向けて、大きな一歩を踏み出したぞ。」予想していたそんな感動は、残念ながらほとんど無かった。むしろ、家畜の屠殺工場を見学してしまったような、言い知れぬ後味の悪さが残った。
 昨日まで鳥獣が遊び歩いていた林。それがチェーンソーの轟音が響き渡った今日というたった一日で、沈黙の林になってしまった。チェーンソーの音に隠れて、大量殺戮される木々の悲鳴が確かに聴こえた気がした。
 今回あえて地杉にこだわり、立ち木を切るところから自分で確認していくという方法を選んだからこそ、初めて見る事のできた材木生産現場。思っていた以上に生々しく衝撃的だった。木造の家は、環境に優しい、人に優しいというけれど、木の命には全然優しくないんじゃないか。命に対する優しさを追い求めていったら、アフリカのドゴン族のように土で家を造るというのが、何の殺生もしなくて理想かもしれない。
 怪我人を出してしまったことと合わせて、辛い一日だった。

Comment

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胸高周囲260
まずは事故が生死に関わらなかったのが何よりでした。大して気にも掛けないような枯木ででも事故は起こります。事故や怪我を避けるのも技術の内なのは山登りも山仕事も同じです。
思うところの多い一日だったようですね。天然木の大径木を伐倒すると、私も自分のしている行為の重さを感じる事があります。増してや伐り損じでもした時には。。。
 杉はさておき八尺七寸もある檜の樹齢は120年ではきかないと思うよ。屋久島の木は目粗なのかな?ちゃんと年輪数えてみて。
machibara | URL | 2010/02/26/Fri 11:09 [EDIT]
コメントありがとう。
松ちゃんは、毎日これを仕事でしてるんだもんね。いろんな意味ですごいなあと思う。
杉は、切った人が、100年くらいだなあ、と言ってました。
檜は生えている状況からして、杉を植える前からの残り木だろうという話でした。一度、年輪数えてみますね。
屋久島遡行人 | URL | 2010/02/26/Fri 12:28 [EDIT]

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